1993 Fiscal Year Annual Research Report
リゾチームの加水分解反応と転移反応の制御とその応用に関する研究
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05660111
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Research Institution | Kyushu Tokai University |
Principal Investigator |
鳥潟 隆雄 九州東海大学, 農学部, 教授 (00140955)
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Keywords | Lysozyme / reaction mechanism / subsite / binding |
Research Abstract |
リゾチームは糖加水分解酵素であるが,加水分解反応と同時に高能率に糖転移反応を触媒する.この高能率な転移反応の発現機構は明らかでない.本研究は糖転移反応の発現機構を明らかにし,加水分解反応と転移反応を分別制御する方法を確立し,リゾチームの利用に関する基礎資料を得ることを目的としている.リゾチームは6個のサブサイト(A-F部位)が存在し,それぞれに1個ずつの糖残基が結合する.まずサブサイトに関与するアミノ酸残基に置換が生じている各種鳥類リゾチームの活性をニワトリリゾチーム(HEL)と比較検討した.その結果,A-C部位の右側に沿って存在するループ領域(Asp101-Met105)のアミノ酸の置換は大きく活性を変動させることが明かとなった.例えば,HELのAsn103gaHisに置換したニホンウズラリゾチーム(JQL)はHis103の解離したイミダゾール基がB部位の糖残基と相互作用し,結果としてB部位の基質結合力が減少することにより活性を変動させることが明かとなった.糖転移反応のアクセプターが結合するE・F部位のPhe34とArg114が他のアミノ酸残基に置換した場合も活性変動を生じる.すなわち,Phe34→Tyr(アヒルリゾチーム)に置換はE・F部位の結合力が増加した.一方,Arg114→His(ホロホロ鳥リゾチーム:GHL)に置換はE・F部位の結合力に影響せずに転移反応の速度定数を減少させた.つぎに,活性変動の原因となったアミノ酸残基の化学修飾を行った.GHLのHis114を修飾するとN-アセチルグリコサミンの5量体を基質に用いた活性測定では,反応生成物のパターンが大きく変化した.これを解析した結果,リゾチームの高能率な転移反応はE・F部位で酵素・基質・アクセプターの1:2複合体が形成されるためと推定された.
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