1993 Fiscal Year Annual Research Report
ラット肝,小腸細胞のapoA-ImRNAの合成とキビ蛋白質由来ペプチドの影響
Project/Area Number |
05660127
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
西澤 直行 岩手大学, 農学部, 教授 (30003792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長澤 孝志 岩手大学, 農学部, 助教授 (80189117)
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Keywords | アポA-I / HDL-コレステロール / キビ |
Research Abstract |
報告者らは,雑穀の一種であるキビの,血漿高密度リポタンパク質(HDL)-コレステロール濃度上昇作用を報告しているが,その作用機序は明かにされていない。血漿中のHDL-コレステロールには,動脈壁などの末梢組織から過剰のコレステロールを引き抜く働きがあり,その機能によって動脈硬化症を予防したり,軽減化する作用がある。そのため血漿HDL-コレステロール濃度の上昇作用を有する食品の研究は重要である。本研究は,キビの血漿HDL-コレステロール濃度に及ぼす作用成分,ホルモン及びapo A-Iの合成,分泌への影響を調べ次の結果を得た。 1)キビの作用成分は炭水化物ではなく,タンパク質が血漿HDL-コレステロール濃度上昇機能を有する。しかし,その作用は,単なるキビタンパク質のアミノ酸組成に基づくものではなかった。2)apo A-Iのサンドイッチ-ELISA法による定量法を,ラットapo A-1抗体によって初めて確立した。3)キビタンパク質の摂取後,1週間以内にリポタンパク質リパーゼ活性が196.3nm/ml/minから306.8nmに顕著に高まり,これに引き続き続いてapo A-I濃度が0.597mg/mlから0.66mgに上昇した。4)キビタンパク質から調製したペプチドは,血漿インスリン分泌を5.38μU/mlから24.7μUに亢進させた。5)肝初代培養によって,キビタンパク質を3週間与えたラットのApo A-I分泌が,カゼインを与えたラットの1.38倍に高まった。6)以上の結果から,キビタンパク質摂取後,その消化中間体であるペプチドが,インスリン分泌などのシグナルを介してリポタンパク質リパーゼを上昇させることによりapo A-1合成,分泌を刺激して血漿HDL-コレステロール濃度を上昇させている可能性が強く示唆された。
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