1993 Fiscal Year Annual Research Report
機能評価に基づいた河畔ゾーンの管理手法に関する研究
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05660152
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 太士 北海道大学, 農学部, 助教授 (90172436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 俊一 北海道大学, 農学部, 助手 (10250490)
矢島 崇 北海道大学, 農学部, 助教授 (90142702)
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Keywords | 河畔林 / 撹乱 / 倒流木 / 河畔ゾーン |
Research Abstract |
本年度は、河畔林の動態と渓畔ゾーンからの倒流木供給機能に関し中心的に研究し、一応の結果を得た。 まず河畔林の動態に関しては、沙流川1992年洪水とその後の回復過程について追跡調査するため、まず本川地形条件と撹乱の程度を検討した。河畔林の撹乱程度は3つの段階に区分でき、軽度は冠水したがほとんど物理的撹乱を受けていない区域、中程度は洪水によって河畔林が倒伏した区域、強度は河畔林が流出し新たな裸地が形成された区域であった。これら撹乱の強度は、河川地形によく対応しており、現流路近くに形成される比高の低い堆積地では強度の撹乱、流路から離れ比高の高い堆積地ほど軽度の撹乱を受けていたことが明らかになった。中程度の撹乱を受けた区域では、倒れた幹からの萌芽による繁殖が認められたが、その後多くのシュートが枯死した。強度の撹乱を受けた地域では、風散布型種子(ヤナギ・ハンノキ類)の定着による実生からの繁殖がほとんどであったが、一部流れてきた幹・枝からの萌芽個体も認められた。 河畔林からの倒流木供給機能については、北海道北部緩流蛇行小河川猿払川で実施した。供給形態として最も多いのは、河岸洗掘に伴う立木の倒れ込みで、その他には風倒・崩壊・人為的供給が確認できた。こうした倒流木のうち、河幅と同程度以上の長さをもつものは洪水時を流出せずに停滞する傾向にあることが分かった。また、魚類生息場の要素として重要な瀬・淵構造、カバー形成機能に関しては、大径で長く(河幅程度)、腐朽度も低く、流路に直角に倒れ込んでいる倒流木が最も効果的に影響を及ぼしていることが判明した。昨年末、野外実験の目的で一部区間についてこれら倒流木を除去した。現在、魚類種数・個体数の変化を継続調査している。
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Research Products
(2 results)