1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05660155
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山中 征夫 東京大学, 農学部(林), 助手 (50012092)
|
Keywords | ヤマビル / 生態 / 成長 / 飼育管理 / 索餌行動 / 生息環境 / 野性ジカ / 房総半島南東部 |
Research Abstract |
ヤマビルの総合的管理(密度低下、分布域の極限化等)システム確立の基礎として、以下の項目について基礎的な生態的研究を行った。 1.野外個体群の動態を明らかにするため、引き続き3ヵ所で定期的に「息ふきかけ法」で採集を行い、個体数の季節変化および生息密度などの調査を行った。生息個体数は減少傾向がみられたが、分布域は拡大傾向にあった。生息個体数の推定方法としてマ-キング法の予備的実験を行った。実施は今夏季に行う予定。 2.ヤマビルの生活史を明らかにするため、飼育管理技術のなかで未解決の給餌方法の検討として、犬、人から吸血させる方法、人の血液および人工血液を注射器で注入する方法で実験を行った。その結果、一部であるが、産卵させることに成功した。安全で確実な給餌方法の確立に向け、実験を継続する予定。 3.当地域の個体群特性を明らかにする一環として、1995年10月沖縄県石垣島、西表島で「サキシマヤマビル」の採集と生息環境調査を行った。採集した2個体は人から吸血させ、飼育中である。今後の経過を観察しながら、生活史をはじめ成育状態、産卵時期、索餌行動の間隔などに関する比較を行っていく予定。 4.ヤマビルの主たる生息場所である林床の落葉の下の温度を測定した。バッテリ-や機械の故障で充分な資料がとれなかったが、ヤマビルにとって、常緑広葉樹林および落葉広葉樹林内の落葉の下は夏季の高温や冬季の厳寒を防ぎ、天敵からの身を隠せる、大変都合の良い生息場所であることが明らかになった。 5.文献、資料等の収集を行った。 6.ヤマビルの防除に関する基礎的な生態学的研究結果のとりまとめを行った。
|
-
[Publications] 山中 征夫: "ヤマビルの生態(IV)-個体数増加および分布域拡大の要因-" 日本林学会論文集. 104回. 687-690 (1993)
-
[Publications] 山中 征夫: "ヤマビルの生態(V)-索餌行動におよぼす気温・湿度の影響と索餌行動の間隔-" 日本林学会論文集. 105回. 555-556 (1994)
-
[Publications] 浅田 正彦: "房総半島におけるニホンジカに対するヤマビルの寄生状況" 千葉県立中央博物館自然誌研究報告. 3巻2号. 217-221 (1995)
-
[Publications] 山中 征夫: "ヤマビルの生態(VI)-個体の大きさ,季節,生存期間の長さと含水率-" 日本林学会大会講演要旨集. 106回. 114 (1995)
-
[Publications] 山中 征夫: "ヤマギルの交尾行動と交尾時期" 日本林学会関東支部大会発表論文集. 47回(印刷中). (1995)
-
[Publications] 山中 征夫: "ヤマビルの生態(VII)-生息場所である林床の落葉の下の温度-" 日本林学会論文集. 107回(発表予定). (1996)