1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05660157
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
渡辺 直明 東京農工大学, 農学部, 助手 (10143637)
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Keywords | ナラタケ / 水分特性 / 水分活性 / 根状菌糸束 / 二員培養 |
Research Abstract |
ナラタケ病被害林の調査から対象林の被害は未だ拡大の方向に推移しつつあるとみられ、P-V曲線法による被害樹の葉の水分特性値を月毎に測定・集積し、被害葉の生理的な変化を調べた。発生子実体の分布と被害樹の分布は必ずしも一致しなかった。被害地は6年生ヒノキ林で、この他に3年生ヒノキ林、30年生ユ-カリ林なども調査中である。ユ-カリについては国内ではまだ病害が報告されていない。 子実体発生場所が尾根、沢、平坦地と異なる菌株の培地水ポテンシャルに対する成長とその菌糸形態への影響を調べた。-0.3MPaから-0.6MPaでは成長の低減は見られなかったが、一部の菌株で培地の着色があった。これ以下の水ポテンシャルでは成長は漸減した。使用菌株中、2菌株で-1.5MPaまで根状菌糸束が発生した。また、fluffyな菌糸からcrustoseな菌糸に変化するのは-0.65MPaから-1.8MPaと菌株間で著しい差異が認められた。成長の下限やこれらの菌糸形態の変化から判断して、本菌が他の土壌性の腐朽菌と比べて乾燥に強いとは言えないことが分かった。また、2菌株では感染の主要な役割をする根状菌糸束が-1.5MPaと低い水ポテンシャルまで形成され病原性との関係が示唆された。過去の内外の研究では菌糸束の発達促進物質に目が向けられていたが、水分活性が大きな因子であり、それに対する菌株間差異があることが判明した。
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