1995 Fiscal Year Annual Research Report
京都市域における酸性降下物の拡散と都市林の遷移機構に関する研究
Project/Area Number |
05660162
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
安藤 信 京都大学, 農学部, 助教授 (00133132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 理正 京都大学, 農学部, 助手 (80263135)
金子 隆之 京都大学, 農学部, 助手 (20233877)
高柳 敦 京都大学, 農学部, 助手 (70216795)
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Keywords | 雨水 / 酸性降下物 / 拡散 / pH / 導電率 / 京都市域 / 都市林 / 遷移 |
Research Abstract |
当初計画していた京都市市街地に隣接する1978年に設定した15カ所の二次林の調査は調査地復元に時間を要し、現在、調査を継続中である。市街地から北へ25kmの郊外に位置する八丁平の1980年に設定した12カ所の森林調査から、クリを主体とする多くの林分で設定後15年間に上層木が成長したのに対し、中・下層を形成していたものの本数が減少した。また、クリ、コシアブラなどの陽樹が、徐々にミズナラ、アカシデ、コハウチワウエデなどの冷温帯天然林の構成種におき変わる傾向がみられ、ブナ、スギが混交する林分では蓄積の増加が著しく、陽樹から陰樹に変化する林分では本数が減少し、蓄積の増加が小さかった。一方、中・下層に冷温帯構成種が少ない林分では相変わらず陽樹が成長し、一部斜面下部にみられるサワグルミが主体の林分では上層のサワグルミの本数蓄積の減少がみられ、このような林分がどのように今後変化していくのか、調査を継続する必要があろう。 降水の採取は降り始めから1mmごとに分取する方法で行ってきた。この方法によって、3mmまでの初期降雨にそれぞれの降水の特性が集約されること、市街地中心部ではECが高まってもpHの低下が小さく、NH_4^+などのアルカリ源の影響が予測されるなど、一定の成果が得られた。しかし、分取による採取法は測定、解析が煩雑で、広域的、長期的な観測には不向きである。本年度は降水をバルク、湿性降下物で採取する方法、分取、一括採取する方法それぞれの比較検討を行って、湿性降下物を簡易的手法で一括採取する方法を開発した。 森林の遷移に及ぼす酸性降下物の影響については森林がそれぞれの方向性を持って推移するため、直接的に因果関係を解析するのは困難である。降水の観測は出来るだけ多くの地点で長期的な観測が可能な体制を構築し、今後は市街地周辺の森林を含め、林分構造が異なる多くの林分で調査を積み重ねる必要がある。
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Research Products
(2 results)