1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05660178
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
沢辺 攻 岩手大学, 農学部, 教授 (90003780)
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Keywords | 蒸煮処理 / 蒸煮後空気加圧 / 注入量 / 浸透深さ / 強度劣化 / 暗色化 / ダグラスファー |
Research Abstract |
木材の蒸煮処理は、透過性を改善すると同時に材質劣化をも誘発する.本研究では材質劣化を抑制しながら透過性を向上する蒸煮処理法の検討を行った.すなわち,針葉樹材を蒸煮により軟化した状態で高圧空気を作用し,透過障壁である閉塞壁孔を破壊することを試みた. 試料として含水率約30%のダグラスファー心材を用い,水蒸気温度120〜140℃で2〜4hr蒸煮後,材温を100℃以上に保った状態で6.5kgf/cm^2の高圧空気を0.5hr作用した.これら処理材の透過性は,主として水の加圧注入による注入量,水浸透深さで評価した. 蒸煮のみを行った試料の水注入量は,蒸煮温度および時間の増加とともに増大する傾向が認められ、120℃処理では末蒸煮材の注入量の1.3倍,140℃処理でのそれは最大で2倍程度まで上げることができたが,強度低下と材色の暗色化が相当進行した.それに対して蒸煮後高圧空気を作用した試料の水注入量は,蒸煮温度・時間による差は余り見られず,120℃処理でも未処理材の約2.3倍にも達し,縦浸透および横浸透深さの改善も図られることが明らかとなった. 以上のように蒸煮後空気加圧は,比較的低い蒸煮温度でも高い浸透性改善効果が得られることが明らかになったが,さらに材質劣化を少なくするために100℃前後の蒸煮温度での検討が必要になろう.
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