1993 Fiscal Year Annual Research Report
セルロース微結晶の磁場および電場における挙動とそれを利用した新しい材料設計
Project/Area Number |
05660180
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉山 淳司 京都大学, 木質科学研究所, 助教授 (40183842)
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Keywords | セルロース微結晶 / 強磁場 / 強電場 / 反磁性磁化率 / 誘電率 / 分極率 / キチン微結晶 / 複屈折 |
Research Abstract |
今年度は申請者が職場を移動したことで、研究内容を若干見直しをする必要が生じてきた。すなわちこれまで材料開発を中心にしていたのに加えて、生物学的な要素を付加しようとするものである。研究成果としては次の3点である。(1)セルロース細胞壁またキチン質を硫酸加水分解により微結晶懸濁液とし、磁場内でこの数滴を撥水処理したスライドガラス上にのせて乾燥させた場合、微結晶の長軸が磁力線の方向に対して垂直に配向した膜が形成された。この現象は物質の反磁性的性質によるもので、強い磁場であればあるほど良く配向することが予想された。そこで7から21テスラまでの静的な強磁場内で実験を行ったが、配向度が1になるような完全配向した試料は調製することが出来なかった。(2)同様の実験を静的な強電場(30kV)の中で行ったところ、長軸は膜の中心に向かって放射方向に配向した。電場配向の要因は現在検討中で、手始めに分極率を取り上げ、それをmopacを利用して算出する予定である。また強電場下の微結晶の水懸濁液中での挙動を直接観察するために、レーザー光を利用した複屈折測定装置を試作した。(2)生体におよぼす影響を調べるために海藻(マガタマモ)を最大0.5テスラの磁場内で育てたところ、対照試料とは全く異なる生育をするものが見られた。これについては試験体の数を増やすと共に今後、細胞のどの部位に影響があるかなどの組織学的な観察も加えて行く。
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[Publications] J.Sugiyama: "Morphology and structure of crystalline cellulose" Foundation for Biotechnical Industrial Fermentation Research. 8. 15-23 (1993)
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[Publications] J.Sugiyama: "On the cell wall polarity in Valonia cellulose" Planta.(in press).