1994 Fiscal Year Annual Research Report
カバノキ科樹木成分、ジアリルヘプタイノイドの抗酸化能とその機能の高度利用
Project/Area Number |
05660184
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Research Institution | GIFU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大橋 英雄 岐阜大学, 農学部, 教授 (80021723)
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Keywords | 抗酸化 / 抗酸化剤 / 食品の変質 / 樹木 / フェノール性抽出成分 / 抗酸化試験 / ジアリルヘプタノイド / ラジカル補足能 |
Research Abstract |
昨今、脂質の過酸化物や活性酸素が、食品の変質並びに老化、発癌、動脈硬化、炎症等の疾患と係わっていることが指摘されている。これらの問題に関して“抗酸化"の観点から盛んに研究が行われており,その結果、天然起源の成分が注目され、天然物による優れた抗酸化剤や医薬品の開発、利用が期待されている。本課題では、森林資源の高度利用法開発の一端として、樹木起源のフェノール性抽出成分の抗酸化能を系統的に調べ、新たな有力成分を見出だし、その利用法開発に繋げることを研究目的とした。 実験はまず、ショウガ科植物の成分であるクルクミン(ジアリルヘプタノイド(C6-C7-C6型成分)の1種)の抗酸化能に着目し、カバノキ科樹木の成分であるアサダニンに代表されるジアリルヘプタノイドについて抗酸化試験(改良Willis法)を実施した。次に、芳香環部分の酸素化パターンの違いも踏まえたC6-C6、C6-C1-C6,C6-C2-C6(スチルベン),C6-C3-C6(フラボノイド),C6-C4-C6,C6-C5-C6(ノルリグナン),C6-C6-C6(リグナン)型の天然性フェノール成分、約70種についても同様に実験し、多くの有望な成分を選別した。 さらに、上記実験においてα-トコフェロール(現在使用中の天然成分の1種)と同等あるいはそれ以上の抗酸化能を有したものについて、合成ラジカルである1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル(DPPH)に対するラジカル補足能を調べ、抗酸化能を別途、評価した。その結果、前法で評価したものは、一部の能力順位に変動はあったものの、本実験でも同様の良い結果を示した。また、成分の構造と抗酸化能発現の関係について考察したり、良い評価の得られた成分について、各々を含む樹木の蓄積と成分含有量について考察し、将来の具体的な利用を予想した。 以上、樹木のフェノール性抽出成分の抗酸化能評価について、予定通り、実験を終了したことを報告する。
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