1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05660191
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
片山 健至 香川大学, 農学部, 助教授 (00152687)
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Keywords | リグナン / フェニルプロパノイド / 生合成 / 立体化学 / Zanthoxylun |
Research Abstract |
リグナンの生合成は明らかでない。特にカラスザンショウのフロフラン型リグナン類の絶対配置は(8S,8'S)で、この立体配置をもつリグナン生合成研究はない。また、同植物の(-)-セコイソラリシレジノールの絶対配置は逆に(8R,8'R)であり興味深い。これらの生合成を解明するためにカラスザンショウと近縁のイヌザンショウを用いて、取り込み実験と粗酵素実験を行い、以下の実績を得た。(1)[8-^<14>C]コニフェリルアルコール(C.A.)を合成して前駆体・基質として用いた。(2)両植物の若枝を用いて[8-C.A.の取り込みを行い、茎と葉からの抽出物中のピノレジノールに^<14>Cが取り込まれたが、エピピノレジノール、セサミン、アサリニンへの取り込みは検出されなかった。セコイソラリシレジノールとラリシレジノールについては他成分との分離を検討中である。(3)若枝の無細胞抽出液と[8-^<14>C]C.A.をNADPH/H_2O_2の存在下でインキュベートした。(+)と(-)-ピノレジノールの生成が認められ、前者の放射能が少なかったが、これと同程度(+)-ラリシレジノールも生じた。セコイソラリシレジノールのピークは放射能を示したが、コントロールと比較して検討している。(4)細胞壁不溶性残さを[8-^<14>C]または[9-D_2,OCD_3]C.A.と補因子なしでインキュベートした。両植物ともにピノレジノールが生成した。ピノレジノール画分を分取してキラルカラムで分離したところ、光学異性体の比率は(-)/(+)=53.5:46.5であった。(5)以上、in vivoでC.A.がピノレジノールを与え、in vitroで可溶性粗酵素がC.A.を(±)-ピノレジノールにして、このうちの(+)-ピノレジノールが一部(+)-ラリシレジノールとなることが明らかになった。この立体配置は(8R,8'R)であり、(-)-セコイソラリシレジノールに対応する。残余のピノレジノールが(-)を示すとすると立体化学が説明できる。不溶性残さ中には細胞壁結合型ラッカーゼが存在して、これも(±)-ピノレジノールを与えたと推定される。
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[Publications] Takeshi Katayama(他1名): "NMR of Dimethoxylariciresinol and Dimethoxysecoisolariciresinol.,and Benzyx Ether Reduction of Furofuran Lignans in Zanthoxylum schinifoliun" Tech,Bull,Fac,Agr.,Kagawa Univ.46. 117-125 (1994)