1993 Fiscal Year Annual Research Report
スルメイカの再生産機構解明のための実験生物学的研究
Project/Area Number |
05660195
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
桜井 泰憲 北海道大学, 水産学部, 助手 (30196133)
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Keywords | スルメイカの飼育実験 / 氷温麻酔 / 産卵特性 / 輸卵管腺ゼリー / 成熟促進 / 囲卵腔形成 / 人工授精技術開発 / 卵発生条件 |
Research Abstract |
1.氷温麻酔実験と飼育下における成熟・産卵試験:(1),実験飼育用スルメイカのハンドリングのための麻酔方法として、氷温域の水温(-1.5〜0℃)条件下での生体イカの耐性時間を調べた。16℃の飼育水槽から氷温海水に入れて、酸素パック法により保持した場合、約6時間以内であれば、もとの16℃の飼育水槽に戻しても正常に復帰遊泳することが明らかとなった。(2),飼育下での成熟・産卵試験を実施し、排卵から産卵までについて調べた。この結果、産卵直前の輸卵管中の完熟卵数は、平均で約10万粒であった。また、雌の産卵回数と産卵後の生存の有無は、過去の飼育実験同様に1回の産卵後に死亡することが明らかとなった。 2.水温条件と雄の交接による成熟促進の可能性に関する飼育実験:(1),雄の交接が雌の成熟(特に、卵黄形成)を促進するかについて、雌のみを単独飼育させて、その成熟過程を調べた。その結果、交接しない雌でも卵黄形成をすることから、交接による雌の成熟促進は否定された。(2),より高温条件ほど成熟が促進されるかについて、過去4年間の飼育水温(15〜16℃)より高い18℃で飼育実験を行った。その結果、18℃では約4週間で産卵に達し、通常飼育では40〜70日間であったことから、高温ほど成熟が促進される可能性が得られた(次年度継続)。 3.卵塊形成時の受精機構の解明と、人工授精技術による卵発生とふ化幼生生残のための最適水温条件の検討:(1),産卵時の卵塊形成の観察から、輸卵管腺ゼリーが発生卵の囲卵腔形成に関与するとの観点から、人工授精試験を実施して、輸卵管腺ゼリーの機能を実証した。また、これを同属のアカイカ、トビイカに応用し、同属内ではこれらゼリーが囲卵腔形成に関与することを明らかにできた。(2),この授精技術により、3〜29℃での卵発生試験を実施し、ふ化までの生残率は15℃から21.5℃の間で約80〜88%の高いことが判明した(次年度以降も追試する)。
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