1993 Fiscal Year Annual Research Report
宿主の異なる冷水病菌Flexibacter psychrophilusの比較
Project/Area Number |
05660202
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
若林 久嗣 東京大学, 農学部, 教授 (00011932)
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Keywords | 冷水病 / Flexibacter psychrophilus / 血清型 / アユ / サケ科魚類 |
Research Abstract |
冷水病は、元来、北米のサケ科魚類の疾病であったが、数年前から日本でもアユ、ギンザケ、ニジマス、ヤマメなどに流行し被害が続いている。そこで、米国のギンザケ、日本各地のアユおよびサケ科魚類から分離された菌株を収集し、菌株間の異同を検討した。 Flexibacter psychrophilusに対する家兎抗血清を米国のギンザケ由来株である標準菌株NCMB1947、宮城県のギンザケ由来菌株FPC828、徳島県のアユ由来菌株FPC840を用いて作製し、マイクロタイター法による凝集反応、二重拡散法による沈降反応を行ったところ、供試菌株はすべて共通抗原をもつことがわかった。吸収試験の結果、共通抗原のほかに特異抗原の存在が認められたので、各地から収集した菌株の加熱菌体(105℃,30分)について血清型を調べた。日本のギンザケ由来菌株と米国のギンザケ由来菌株は同じ血清型(0-1)であり、アユ由来菌株およびニジマス由来菌株はそれとは別の血清型(0-2)であることがわかった。この結果、日本のギンザケ孵化場で発生している冷水病が輸入種卵によってもたらされた可能性が示唆された一方、アユやマス類に流行している冷水病の由来が新たな課題として浮び上がった。 レムリ法により菌体試料を電気泳動(SDS-PAGE)して構成蛋白とリポ多糖の泳動パターンを調べたところ、ギンザケ由来菌株とアユ由来菌株との間にパターンの相違が観察された。そこで、ウエスタンブロッティング法により、泳動パターンのレプリカに対して抗血清あるいは吸収抗血清を反応させて両グループの特異抗原を見いだすことを試みたが、まだ特定するに至っていない。また、構成蛋白の分画精製による特異抗原の抽出も今後の課題として残された。
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Research Products
(1 results)