1993 Fiscal Year Annual Research Report
養殖魚における水産用医薬品の薬物速度論的研究-ミロキサシン
Project/Area Number |
05660205
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
上野 隆二 三重大学, 生物資源学部, 教授 (70024841)
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Keywords | ミロキサシン / 薬物速度論 / 養殖ウナギ |
Research Abstract |
本研究を着手するにあたって、HPLCによるミロキサシン(MLX)および主要代謝物であるM-1の同時定量法について検討した。次に、供試魚(養殖ウナギ)の成長速度の相違(本実験では体重差で区別し、重いグループ成長良好群、軽いグループを通常群とした)による薬物の経口投与後の体内動態について薬物速度論的に調べた。得られた結果は次の通りである。 (1)本開発法によってMLXおよびM-1は妨害成分とよく分離され、シャープなピークが得られた。MLXおよびM-1をそれぞれ2ppm添加した各組織からの平均回収率は、それぞれ88および84%であり、変動係数はそれぞれ4.4および4.0%であった。検出限界は血清および筋肉で0.03ppm、肝臓および腎臓で0.06ppm、胆汁で0.1ppmであった。従って、本開発法は残留分析法確立のための基準に十分適合するものであった。 (2)単回経口投与した場合、血清濃度増加速度は通常群が成長良好群の2倍以上速く、半増期は1/13であった。AUC(血漿中濃度時間曲線下の面積)は成長良好群と通常群でほぼ同じであったが,MRT(平均滞留時間)は通常群が成長良好群の2倍程度であった。MLXのTmaxは胆汁を除いた各組織で通常群の方が速かった。逆にT1/2(生物学的半減期)は各組織とも通常群が成長良好群の2倍以上であり、Et(消失時間)もそれぞれ長かった。成長良好群および通常群のすべての組織でMLXおよびM-1のグルクロン酸抱合体が検出された。未変化体および全代謝物に占める抱合体の割合は、成長良好群および通常群の各組織でほぼ同じであった。
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