1994 Fiscal Year Annual Research Report
微小刺激法による魚類遊泳運動の脳内回路および脊髄下降路の解析
Project/Area Number |
05660209
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
植松 一眞 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (00116542)
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Keywords | 真骨魚 / コイ / 遊泳運動 / 脊髄 / 神経核 / 電気刺激 / 薬物刺激 / HRP |
Research Abstract |
1.昨年度の研究成果に基づき、遊泳運動に関わるコイの脳内神経回路をより詳細に解析するため、興奮性アミノ酸の微量注入による薬物刺激、horse-radish peroxidase(HRP)によるニューロン軸索の標識、脳領域を局所破壊をした魚の行動観察を行った。 2.L-グルタミン酸を主に内側縦束核および内側縦束を目標に微量注入した。多くの場合、遊泳運動は注入中に始まり、6.5分から10分以上持続した。誘起された運動の大部分が、尾部をアミノ酸を注入した体側にのみ振る運動であった。正しく両側に振る運動は、正中部に注入したときだけに観察された。赤核への注入では運動が起きない。 3.内側縦束にHRPを注入すると必ず内側縦束核のニューロンが標識された。また、小脳に向かう軸索の中にも標識されるものがあった。 4.以上より,真骨魚において,遊泳運動を開始させる指令を発する中脳レベルの神経核は内側縦束核であり,脊髄への下降路は内側縦束であることが確定した。 5.コイの脳を局所破壊してから脳を封じ、水槽内でその行動を観察した。一方の内側縦束核もしくは内側縦束を破壊すると、魚は破壊した側の体側筋を動かせなくなった。赤核もしくは上小脳脚交連を破壊した魚では、破壊した側の胸鰭と腹鰭の動きが異常になった。この結果から、内側縦束核のニューロンは同じ体側の脊髄内リズム生成装置だけを賦活することがわかった。また、赤核は対鰭の運動の制御に関わることが示唆された。 6.今後の課題は、内側縦束核の各ニューロンと、脊髄内リズム生成ユニットとの結合様式、およびリズム生成ユニットそのもの構造の解明である。
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