1994 Fiscal Year Annual Research Report
スナメリの個体群生態学的研究-画像処理による洋上での体長推定と群れ構造の解析-
Project/Area Number |
05660213
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
白木原 国雄 長崎大学, 水産学部, 助教授 (90196618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹村 暘 長崎大学, 水産学部, 教授 (70039725)
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Keywords | 小型歯鯨スナメリ / 体長推定 / 群れ構造 / 長崎沿岸海域 / 分布 / 生息数 / 生活史 / 系群識別 |
Research Abstract |
本研究はビデオカメラにより撮影された小型歯鯨の画像の解析、長崎大学の所有するスナメリの標本の精査、および飛行機や船からの目視調査に基づいて、長崎沿岸海域に生息するスナメリの個体群生態学的特性値を推定することを目的とした。 1.飛行機からのビデオ撮影により、46頭の画像を得た。これらの体長推定値は0.7〜2.2mの範囲にあった。有明海、橘湾における生息数は撮影個体数より少なくとも800頭と推定した。並行して実施した人間の眼による目視観察から、同海域の生息数を3093頭と推定した(平成7年度日本水産学会で発表予定)。 2.船からの目視調査に基づき、長崎沿岸海域における本種の分布と生息密度に関する論文をまとめた。有明海、橘湾および大村湾が本種の主な分布域であり、角力灘や佐世保以北での出現は稀である。生息密度は有明海中部で1平方km当たり1.31-1.60頭であった。群れの大きさは平均1.7頭であった。 3.スナメリ標本の歯と生殖腺の精査から、長崎沿岸海域における本種の年齢、成長および繁殖に関する論文を発表した。本本種は体長80cmで生まれ、5歳で140cmになる。雌は6-9歳で性成熟に達する。出産期は秋から春である。 4.骨格標本の精査から骨格形態変異に関する2つの論文を発表した。1つは成長に伴う形態の変異と形態の雌雄差を記述し、他は形態の海域差より系群識別を試みたものである。頭骨の成長は4歳で停止する。頭骨の形態の雌雄差は顕著ではない。長崎沿岸海域では、有明海〜橘湾、大村湾の2つの系群が存在するとの見解を示した。
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[Publications] Shirakihara,M.et al.: "Age,growth and reproduction of the finless porpoise,Neophocaena phocaenoides, in the coastal waters of western Kyushu,Japan" Marine Mammal Science. 9. 392-406 (1993)
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[Publications] Shirakihara,M.et al.: "Distribution and seasonal density of the finless porpoise,Neophocaena phocaenoides, in the coastal waters of western Kyushu,Japan" Fisheries Science. 60. 41-46 (1994)
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[Publications] Yoshida,H.et al.: "Development, sexual dimorphism,and individual variation in the skelton of the finless porpoise,Neophocaena phocaenoides, in the coastal waters of western Kyushu,Japan" Marine Mammal Science. 10. 266-282 (1994)
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[Publications] Yoshida,H.et al.: "Geographic variation in the skull morphology of the finless porpoise,Neophocaena phocaenoides, in the Japanese waters" Fisheries Science. (in press).