1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05660222
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
室伏 誠 日本大学短期大学部, 短期大学部, 教授 (10095515)
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Keywords | 甲殻類 / エビ類 / 染色体 / 細胞培養 / 組織培養 |
Research Abstract |
「大型エビ類の細胞遺伝学的基礎研究」における平成5年度の研究実施のなかで、まず大型エビ類の染色体観察法について検討した。報告者らが確立した直接法を用いた空気乾燥法による従来のエビ類の染色体観察法は、基本的に大型エビ類においても同様に有効で、以下に示す通り、イセエビ類を中心に良好な染色体標本を得ることができた。一方、魚類において一般的となっている培養細胞を用いた染色体観察を、大型エビ類に適用するよう検討した。培養を試みた組織は、肝膵臓、生殖線等で、この点については、すでにアメリカザリガニにおいて確立した淡水産エビ類の培養液、培養条件を海産の大型エビ類に適応するよう改良し、触角腺において培養細胞を得ることができた。しかし、増殖した培養細胞から染色体を観察するための条件は、淡水種のそれとやや異なり、染色体の腕の広がりなどが充分に得られなかった。これらの点についてはさらに次年度において検討を重ね、培養細胞を用いた染色体観察法の確立を行いたい。 一方、直接法を中心に用いた本邦産大型エビ類の染色体調査では、本邦産のイゼエビ、に加え、ニシキイセエビ、シマイセエビ、ケブカイセエビおよびカノコイセエビについて調査を行った。その結果、これらイセエビ類は、染色体数(2n)が112から150の範囲を示し、種による特異性が認められた。これらの研究結果については、その一部を第4回International Workshop on Lobster Biology and Manegement(1993,6月,岩手県、三陸町)において"Cytogenetical study of spiny lobsters."として発表した(No.331)。また、さらに第5回International Symposium on Gentics in Aqua-culture(1994,6月,Halifax,Canada)においても、"Karyological comparison of spiny lobsters from Pacific Ocean."として平成5年度の研究成果を中心に発表を行う予定である。
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