1993 Fiscal Year Annual Research Report
イカ塩辛熟成過程中の微生物相の規制要因としてのイカ肝臓および墨汁成分の役割
Project/Area Number |
05660223
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
信濃 晴雄 北海道大学, 水産学部, 教授 (10001603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 浩司 北海道大学, 水産学部, 助手 (40250500)
川合 祐史 北海道大学, 水産学部, 助手 (60195039)
猪上 徳雄 北海道大学, 水産学部, 助教授 (60002086)
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Keywords | イカ / 塩辛 / 微生物相 / 肝臓 / 抗菌性物質 / Staphylococcus aureus |
Research Abstract |
イカの胴肉に食塩10%とイカ肝臓5%を加えた「赤作り」塩辛およびそれにイカ墨を加えた「黒作り」塩辛を調製して25℃で熟成し、熟成過程における両塩辛の各種化学成分の消長および微生物相の変遷を調べた結果、Staphylococcus aureusの増殖を抑制する成分がイカ肝臓に存在すること、またS.aureusとS.epidermidisの増殖を抑制する成分がイカ墨に存在することが示唆された。そこで、まずイカ肝臓から抗菌性画分の分離を試みた。すなわち、スルメイカ肝臓を等量の蒸留水とともにホモジナイズした後、100℃で30分間加熱処理した。これの蒸留水に対する透析外液を濃縮し、イカ肝臓水抽出物とした。この抽出物を陽イオン交換樹脂(CM-Cellulofine)およびアンバーライトXADのカラムに供して非吸着画分を集め、さらにBio-Gel P-2を用いたゲル濾過クロマトグラフィーに供した。イカ肝臓中に存在する抗菌性物質は、ゲル濾過によって分子量600〜850で、熱に比較的安定な物質と推定された。この抗菌画分は、食塩10%の共存下でS.aureusに対して4mg/ml濃度で増殖遅延を、8mg/ml濃度で増殖抑制効果を示した。また、イカ塩辛からの分離菌株のうち、S.warneri、S.xylosus、Micrococcus sp.の増殖には本画分の影響は認められなかったが、S.epidermidisには食塩3〜10%共存下において増殖促進効果が認められた。したがって、イカ肝臓の抗菌性物質は、10%用塩量の伝統的な「赤作り」塩辛の熟成過程における独特の菌相形成、すなわちS.aureusが増殖せずに、それ以外のStaphylococcus属(S.epidermidis、S.warneri、S.xylosus)やMicrococcus属が優勢となる機構に関与することが示唆された。
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Research Products
(2 results)