1993 Fiscal Year Annual Research Report
魚類カテプシンB,H,Lの生合成と分解(プロセッシング)機構
Project/Area Number |
05660234
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
原 研治 長崎大学, 水産学部, 助教授 (10039737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橘 勝康 , 助教授 (20171712)
槌本 六良 , 教授 (20080525)
石原 忠 , 教授 (40039722)
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Keywords | 魚類カテプシン / プロセッシング / マクロファージ |
Research Abstract |
平成5年度の研究実績の概要は以下のとうりである。 【カテプシンの精製】カテプシンB,H,Lをコイ筋肉・肝膵臓の粗抽出液から、別々に精製した。精製標品はそれぞれ800mug,500mug得ることができた。そのうちカテプシンLのN末端アミノ酸組成を15残基まで決定した。その結果、ラットのカテプシンLと高いホモロジーを示した。 【ポリクローナル抗体の作成】精製したカテプシンB,Lをウサギに免疫し、それぞれの抗血清(ポリクローナル抗体)を調製した。さらにそれぞれの抗原をカラムに結合させた抗原カラムクロマトに供し、それぞれの特異IgGを作成した。カテプシンHは精製量が少なかったため、その抗体を作成することはできなかった。これらの抗体は、細胞の抽出液からカテプシンを免疫沈澱させるために用いた。 【モノクローナル抗体の作成】本実験には大量の特異抗体が必要である。上記ポリクローナル抗体だけで量的に不足と考えられる。そこで、単一の抗原決定基と反応する抗体(モノクローナル抗体)を半永久的に産生するモノクローナル抗体の作成を試みた。精製したカテプシンLを免疫したマウスの脾臓細胞とミエローマ細胞を融合させ、ハイブリドーマを形成させた。この中からカテプシンLの抗体を産生する細胞をスクリーニング・クローニングで選び出した。その結果、カテプシンLの抗体を産生するクローンを5クローンを分離できた。このクローンは現在凍結保存しており、これをプリスタン投与マウスの腹腔に投与し大量のモノクローナル抗体を得る予定である。 【コイ腹腔マクロファージの初代培養】コイ腹腔マクロファージ採取方法を検討した結果、コイの腹腔に5%カゼイネートを18ml注入し、4,5日後腹腔浸出細胞を採取するとマクロファージが大量に採取できることがわかった。その細胞をCO_2 インキュベータにて2時間培養し、非接着細胞を洗い流せば全細胞の約90%がマクロファージでることがわかった。このマクロファージは培養液中で、少なくとも48時間細胞は生きており、本実験に供することが可能であった。 【カテプシンの存在形態】カテプシンの特異抗体を用いて培養細胞(マクロファージ)中のカテプシンB,Lの存在形態を調べた結果、両酵素は分子量約40キロダルトンのプロ型と分子量約30キロダルトンの成熟型一本鎖酵素として存在していることがわかった。また、分子量約23キロダルトンの重鎖(二本鎖酵素のうち分子量が大きい方)の存在も確認できた。 これらのプロセッシング過程とプロセシングプロテアーゼについては平成6年度に明らかにする予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 原研治,槌本六秀,橘勝康,長富潔,古場久代,石原忠: "コイ腹腔マクロファージの調製" 長崎大学水産学部研究報告. 第74,75合併号. 51-57 (1993)