1993 Fiscal Year Annual Research Report
農場的土地利用推進のための農家間合意形成に関する理論・計量経済学的研究
Project/Area Number |
05660239
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
廣政 幸生 北海道大学, 農学部, 助手 (00173295)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 巧 宮城県農業短期大学, 講師 (40178413)
|
Keywords | 農場的土地利用 / 分散錯圃 / 社会選択論 / リベラルパラドックス |
Research Abstract |
農場的土地利用を推進するためには、土地の零細分散錯圃を如何に解消していくかにある。1.零細分散錯圃が解消され農場的土地利用へ向かうための農家間合意形成の理論的検討として、社会的選択論の整理、現実への適用可能性をヒアリングもとに行った結果、(1)分散錯圃が市場メカニズムによって解消しえない理由を農地市場の特殊性に求めた。すなわち、「取引費用」や「情報の不完全性」が少なからず存在し、「外部性」が存在することである。(2)農地の組織取引において、アローによる合意形成の不可能性、センによるパレート派リベラルの不可能性を解消すれば、農場的土地利用が実現されることが指摘できる。よって、農場的土地利用を実現を展望するために(3)情報の不完全性の回避のために、農地一筆ごとのデータベース化をはかり農地の質を数量指標を用いて適切に評価し適切な価格づけをおこなうこと、(4)農村集落の社会的厚生関数を構築するには、ワルラス均衡を達成するタトヌマンのプロセスを行うオークショナーに類似する機能を担う主体が不可欠であること、(5)リベラルパラドックスの解消については、権利の譲渡がなされる行動規範としてセンの呈示した「共感」と「コミットメント」の2つの道徳感情の形成が重要である。 2.理論フレームワークの検討に対し現実的な対応を、宮城県石越町の圃場整備事業対象全農家に対し、農地集積に関する合意形成についてのアンケート調査並びに筆単位の農地所有のデータベース化作業を行った。約1000筆に及ぶ農地のデータベースは完成し、6年度ではこのデータベースと意向調査の分析をさらに進めることにより農場的土地利用推進のための有用な知見が得られると期待される。
|