1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05660245
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹谷 裕之 名古屋大学, 農学部, 教授 (10023491)
|
Keywords | 農業雇用 / 雇用依存経営 / 雇用管理 / 作業管理 / 人間関係管理 |
Research Abstract |
二つの典型事例をみる。部会員全体の被雇用者数3300名弱、支払い賃金総額約20億円の及ぶ、大規模でユニークな雇用中心型の施設園芸経営集団を作り出した豊橋温室園芸農協「大葉部会」の場合、収穫・調整作業に10アール当り7000時間を超す、大量の労働力を必要とするだけに、ハウス内収穫作業と、パック詰め調整作業に適した労働力を確保如何が、経営の存立・発展条件となる。同部会は、前者の作業をパート形態で、後者の作業を内職形態で雇用し、新聞への折り込み広告、立て看板、口コミなどによって募集・確保するとともに、賃金の協定、パートの送迎、就業規則の明確化、就業時間の柔軟化、快適な作業環境の創出等により、部会員相互の雇用競合を回避しつつ雇用労働力の定着を図ることに成功している。 (有)S植物園は優れた工程管理と技術管理をベースに、雇用管理も際だって優れた経営体である。施設型専業経営が大量・広範囲に展開する渥美半島地区では、雇用調達は容易でないが、同経営は、10代から70代に亙る雇用者に対し、(1)雇用者の年齢、能力、個性、希望等に応じて、ライン部門や肥培管理部門などの持ち場を決める、(2)8時間労働を基本としつつ、雇用者の条件に応じ柔軟な労働時間を適応する、さらには(3)給与に能力給を採用しつつ、他所へいって働くより少なくないことを能力査定の基準にすることによって、雇用者の納得いく水準を確保し、かつ会社の収益が上がればそれをボーナス時に分配することによって、大勢の雇用者がそれぞれの自発性を最大限発揮して働けるようにしている。その際、自らの合理主義的特性とパートナーとしての妻の「人の良さ、角を立てない」特性とをうまく結び付け、雇用管理に当たっていることも、人間関係管理として重要な役割を発揮している。その結果、雇用者の定着度は極めて高い。
|