1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05660248
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
野田 公夫 京都大学, 農学研究科, 助教授 (30156202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 幹雄 京都大学, 農学研究科, 教授 (40081096)
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Keywords | 自作農創設事業 / 小土地所有 / 小経営 / 地主制 / 土地制度 / 土地改革 / 農地改革 / 小作農 |
Research Abstract |
(1)わが国の自作農創設事業に関する研究史整理および外国農業史の成果を中心に比較史的観点からの論点とり纏めを終了した。前者については、わが国近代の土地問題展開視史における昭和戦前期段階の意味について知見を得、また後者については、東アジア(日本、中国、韓国、台湾)ならびに東欧(旧東ドイツ)西欧(西ドイツ)および南アジア(バングラディシュ)について相互比較をすすめ、一定の結論を得た。後者の成果の一端は、1996年度農業史研究会大会シンポジウムに反映される予定である。 (2)香川・宮津を中心とする在地資料の発掘は着実に進行し、とくに宮津のそれは膨大なものに達した。また京都府の自作農創設事業関連資料を発掘し、その整理を行った。府レベルと在地レベル双方の資料が発掘されたという点で資料上優位にある京都府に関しては、全府レベルの分析と在地レベル(宮津市)を付き合わせた分析が可能である。ただ双方とも資料が膨大であり、なお整理・分析を続行中であり、結論を十分詰め切れないでいる。 (3)在地資料の収集とは別に、一橋大学所蔵の「農事調査」、東京大学所蔵の「小作慣行調査」、京大農業簿記研究施設所蔵の簿記資料他の複写と整理を行ない、村レベルでの基礎資料を収集・整理した。本資料、(2)とのつき合せを行ない資料の性格に即して論点を再確定し、研究をまとめつつある。 「自作農創設事業の経済的・社会的分析」を課題にあげたが、資料の性格上「経済的」分析に集中しており、「社会的」側面のアプローチが必ずしも十分行われているとは言い難い。この点の実証分析は今後の課題として残しつつも、論点としては明確に整理しておきたい。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 野田 公夫: "いわゆる「CV論」論争から何を学ぶか-日本農業史研究とポストモダニズム-" 荒木幹雄編『近代農史論争』所収. 16-26 (1996)
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[Publications] 荒木 幹雄: "日本蚕糸業発達とその基盤-養蚕農家経営-" ミネルヴア書房, 402 (1996)