1993 Fiscal Year Annual Research Report
コイ科魚類の棲息環境条件を備えた水源・水路施設系の設計に関する研究
Project/Area Number |
05660264
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
大久保 博 山形大学, 農学部, 助教授 (80203735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島貫 正一 山形大学, 農学部, 助手 (50170957)
前川 勝朗 山形大学, 農学部, 教授 (40007076)
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Keywords | 水質安定期間 / 放流時期 / ため池水質 / 水質分布 / 底部の影響 / 水質管理 |
Research Abstract |
本年度は、山形県内のため池を事例に棲息環境である水質について現地観測を行った。このため池は、潅漑期のみに湛水されるために、貯溜直後の混合(ほぼ均質)した状態から水質プロフィールの形成の過程を観測することが可能である。また比較のために通年湛水されている近傍のため池を1ヶ所で観測した。測定項目は、Do・pH・水温・濁度で、6月中旬から9月中旬の潅漑期において、毎週約1回、5ヶ所で鉛直方向には1mおきに測定した。また沢からの流入出点2ヶ所で水質の測定を行い、ため池への導水路では量的把握のため、堰および量水標を設置した。さらに、ため池底部約20ヶ所にサンプラーを埋設し期間中の沈澱物量を採取し、有機物の含有量について分析した。以上の結果、以下の知見を得た。 まずDo総量の経時的な変化は、降雨や貯溜水の放流の短期的な影響をのぞけば、貯溜後から約2カ月の間は総量は減少していった。pHからみたイオン濃度は貯溜後徐々に上昇する傾向が見られた。また、濁度は初期の高い値から減少していくが、1〜4m層の表層部では降雨との相関が高いことが判明した。水温の変化は、ため池から放流利用するまでの約1カ月半の間は、表層部が高く指数関数的に減少して8m付近で一定となる様相を示し、拡散で説明される現象であることが推定された。また、沈澱物の測定結果からは、流入部で沈澱物量は多いもののほぼ水深(サンプラー上の水柱容積)に比例した量が沈澱しており、沈澱速度は非常に遅いことが推定された。また、各サンプラーにより採取された試料の有機物含有量は5〜10%程度が大部分であった。以上のような全体的な変化とは別に短期的な変化をみるために、気象要因(風速・降雨)と水質項目の各層のデータとの相関,ため池心土の酸性度および比較対象区との比較から、それぞれの現象の要因について考察した。
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