1993 Fiscal Year Annual Research Report
酸性雨および路面凍結防止剤の作用をうけるコンクリートの性能向上に関する研究
Project/Area Number |
05660269
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
藤井 卓 東京農工大学, 農学部, 教授 (90041920)
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Keywords | コンクリート / 酸性雨 / 融氷剤(路面凍結防止剤) / セメント系複合材料 / 炭素繊維 / アラミド繊維 / 高炉スラグ微粉末 / 微小硬度 |
Research Abstract |
1.目的:酸性雨および路面凍結防止剤の作用をうける複合セメント硬化体の劣化および補強のメカニズムを明らかにし、これを基礎にコンクリートの性能向上に最も適した表面被覆用材料として、炭素繊維、アラミド繊維、高炉スラグ微粉末などを用いたセメント系複合材料を開発する目的で以下の実験を行った。 2.実験内容:普通セメントに分散材[炭素繊維、アラミド繊維、高炉スラグ微粉末BS]を単独および2種以上の組み合せで添加した複合セメント硬化体を、養生後、H_2SO_4(pH1,3,5)、HNO_3(pH1,3,5)、H_2SO_4(pH3)後→3%NaCl、H_2SO_4(pH3)後→3%CMA、H_2SO_4(pH3)+3%NaCl混合溶液、H_2SO_4(pH3)+3%CMA混合溶液に8週間浸漬した。浸漬溶液のpH、Ca^<2+>イオン濃度の測定および浸漬後の複合硬化体の残留Ca(OH)_2量および微小硬度を測定した。 3.研究成果:今年度は本研究計画の初年度に当たるが、上記の実験の結果として次の知見が得られた。 (1)酸性溶液と融氷剤溶液の複合作用の場合は、Ca^<2+>イオン濃度の経時変化への影響はCMA溶液で大きく、CMA溶液中のCa^<2+>イオン濃度を控除してもなおCa^<2+>イオン濃度が増大した。 (2)Ca(OH)_2の溶出は、酸性溶液の場合はpH値の小さいほど大きく、また硫酸溶液(pH3)単独の場合よりも硫酸溶液と融氷剤溶液の複合作用の場合の方が大きく、とくに混合溶液の場合が最も大きく、さらにNaClよりもCMAの場合の方が大きかった。BS、特に混入率30%ではCa(OH)_2の溶出は他の硬化体に比較して著しく小さかった。 (3)溶液浸漬後の硬化体の硬度は、硬化体の種類、浸漬溶液の種類によって著しく相違したが、複合硬化体については酸性溶液とCMA溶液との混合溶液の場合の低下が最も大きく、これはCa(OH)_2の溶出とも対応した。
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