1993 Fiscal Year Annual Research Report
流域内の土地利用形態を取込んだ分布型流出モデルの開発
Project/Area Number |
05660274
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
福島 晟 島根大学, 農学部, 教授 (90027251)
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Keywords | 流出モデル / 流域モデル / 洪水流出 / 河道網 / 流出解析 |
Research Abstract |
本研究は,スプロール的に混住化社会が進展する農村地域を対象にした雨水流出解析法の検討を研究目的とする。その際,対象地域は複数の地目から構成されることになるから,土地利用形態の分布特性を考慮した分布型流出モデルを開発し、流出モデルの同定・検証が必要となる。研究実績の概要は以下のとおりである。1.本研究目的の遂行には,自然丘陵山地流域を対象として提唱した流出モデルであるKiWSモデルの活用が有望と考え,本流出モデルを基礎にした流出解析法を検討した。すなわち,KiWSモデルでは,流域場の地形形状に関する分布特性を流域モデルに反映させることは可能であっても,表面流,早い中間流を規定するモデル定数が流域一様と仮定した条件下での流出解析結果を与えることになるが,本研究目的に対処しうる以下のような手法からなる流出解析手法を得た。(1)対象流域の河道配列構造に基づく分布型流域モデルの構成法,(2)角屋・永井の長短期流出両用モデルでは,直接流出成分への有効降雨が自動的に算定できるという特長を活かし,これを雨水流モデルの斜面域への有効降雨とする斜面流計算,ならびに従来の雨水流モデルにおける河道流計算を併用した分布型KiWSモデルの構築,及び(3)FORTRAN77による流出計算プログラムの作成。2.本流出モデルにより,流域の開発に伴う複数の地目から構成される流域を対象にして,直接流出成分のみならず,低水流出成分をも合成した流出解析が可能であることを数値シミュレーションにより確かめた。3.牧草地,蔬菜畑,果樹園を含む益田農地造成域における若干の流出解析事例により,分布型KiWSモデルの適用性が確かめられたが,地目別のモデル定数の評価には検討課題が残った。4.分布型KiWSモデル定数と長短期流出両用モデル定数との関連を明らかにするため,長短期流出両用モデルの分布型適用法を試み,豪雨時の出水資料に基づく解析事例を示した。
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Research Products
(1 results)