1994 Fiscal Year Annual Research Report
シラス畑地帯における浸透水汚染の軽減方策に関する研究
Project/Area Number |
05660282
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
三輪 晃一 鹿児島大学, 農学部, 教授 (40032099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若松 千秋 鹿児島大学, 農学部, 講師 (70041647)
長 勝史 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (20038235)
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Keywords | シラス畑地帯 / 浸透水汚染 / 土壌水の窒素濃度 / 稲わらの埋設 / 窒素濃度軽減 |
Research Abstract |
本研究の目的はシラス畑地帯を対象として、新鮮有機物添加による硝酸態窒素除去法を確立し、地域全体の水管理による地下水保全対策を探ることである。 1.稲わらによる硝酸態窒素の軽減効果 硝酸ナトリウム水溶液150mL(硝酸態窒素濃度16mg/L)を毎日供給してから85日経過したカラムから、厚さ10cmのシラス層を10分画して各層に含まれる土壌水を抽出した。敷設した稲わらより上位にある抽出液の硝酸態窒素濃度は供給液の濃度であった。しかし稲わらより下位にある土壌水の濃度は5mg/L以下に低下した。また稲わら部分に含まれる溶液の硝酸態窒素濃度は4mg/Lであった。 以上の実験結果から稲わらによる窒素軽減率は70%であると結論し、その窒素軽減機能は稲わら固体による生物的脱窒作用であることを認めた。 2.地下水汚染の軽減方策と問題点 作物の生育には多量の窒素が有効である。このために作土層には十分な窒素分が必要である。10gの稲わらを作土層に混入した場合(A)と作土層の下に埋設した場合(B)の硝酸態窒素濃度を比較した。その結果、Aの場合は稲わら無添加の場合より窒素濃度の上昇速度は遅い。しかしBよりは3倍の速さで上昇した。これより地下水への硝酸態窒素の抑制効果はBの方がAよりも持続することを認めた。したがって稲わらを作土層に混入するよりも作土層の直下に埋設する方が窒素の削減効果は高い。 しかしながら、梅雨期および台風期に集中豪雨に見舞れるシラス畑地では、作土層に多量に残留する窒素が地表水によって河川へ流入する危険があり、その防止策が必要である。このために一つの方策のみで窒素の流出を防止することは不可能であり、水分管理を含む数種の防止法の組み合せによる対策が望まれる。
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