1993 Fiscal Year Annual Research Report
農村集落の豊かな田園居住環境の保全と形成手法に関する計画研究
Project/Area Number |
05660286
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
川嶋 雅章 明治大学, 理工学部, 助手 (80130805)
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Keywords | 農村集落 / 田園居住 / 居住環境 / 土地利用 |
Research Abstract |
本研究は、本来持っていた農業・農村的土地利用と新たな都市的土地利用との共存ができる、豊かな田園居住環境の保全と土地利用計画及び空間創出の必要性が急務であり、そのための保全手法や形成手法を研究する計画研究を目的とするものである。本年度は静岡県菊川町の神尾と奥横池の2集落を事例に実証的研究を行った。 研究方法は、集落における田園環境要素(水、緑、農地、宅地、建築形態、社会的条件など)について、集落全体の環境と居住環境に重点をおいて詳細調査を行った。ア.既存の図面資料や文献資料による地域の解析及び現地踏査を踏まえて、対象集落の田園環境要素の解析を行った。イ.更に、地域住民とのワークショップによる田園環境要素の変遷、問題、課題についての検討会を行い、住民からの居住環境評価を行った。このことによりアでは得られない環境要素の発見を得た。ウ.居住環境や土地の所有形態などに対する数値的解析を行った。 研究成果としては、ア.丘陵の山裾に屋敷を形成し、平坦部(ノラ)に水田、屋敷背後(ヤマ)は山林で、更に丘陵(ノヤマ)は共同のムラヤマであった。ノラは昭和30年代にほ場整備され、マヤは一部茶畑化し、ノヤマは共有地を分配し茶畑に変化し利用と所有の変化がみられた。イ.明治初期にため池が作られ、昭和41年に大井川用水が通水しため池機能低下、ため池の新たな活用が必要。ウ.また、谷地にホタルの消息域が残されており保全手法が必要。エ.河川改修や農薬による魚の減少などで親水性が失われてきた。オ.遠州地方の地域性によるマキ垣と屋敷林が残されている。カ.屋敷の建物配置形態は1パターン。キ.屋敷廻りのシラハタが茶畑化。ク.通過交通による生活道路の安全確保。ケ.骨格的土地利用を無視した新規参入の小規模宅地出現。コ.ヤマからの排水問題や急傾斜地の災害対策など、豊かな田園居住環境の保全と形成に対する計画課題が抽出できた。
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