1993 Fiscal Year Annual Research Report
自脱型コンバインの非線形振動に関する実験的並びに理論的考察
Project/Area Number |
05660295
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 英二 九州大学, 農学部, 助教授 (00184739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 繁樹 佐賀大学, 農学部, 助手 (50223227)
坂井 純 九州大学, 農学部, 教授 (70024536)
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Keywords | 自脱型コンバイン / 非線形振動 / 振動加速度 / パワースペクトル / 位相軌道図 / ポアンカレ断面 / 自由度 / カオス |
Research Abstract |
本研究ではコンバインの振動特性が周期的、準周期的あるいは非線形要素の高いカオス的であるかを、定置及び圃場作業実験での機体振動加速度のパワースペトル密度と位相軌道図、ポアンカレ断面より考察を行うものである。本年度は特に、収穫作業を行わない状態の定置での計測及び解析を行った。 1.振動加速度のパワースペクトル密度 定置試験(走行しない状態)・・・エンジンンのみ駆動の状態での機体重心位置での振動加速度のパワースペクトル密度成分は、前後、上下の並進成分とロー、ヨーの回転成分についてエンジンの回転周期が顕著に出現しているが、中でも前後方向とヨー方向についてはエンジンの分数調波と異なる周波数成分のスペクトルも数本出現している。また、エンジンの回転周期の影響は小さいが、ピッチ方向では連続のスペクトルが観察された。次に、脱穀部、刈取部を駆動状態にした場合は、脱穀部の脱穀機と揺動選別部の駆動周期の影響は若干出現するものの、パワースペクトルの周波数成分は、エンジン駆動のみの場合とほとんど変化はなかった。 以上、定置試験での振動加速度のパワースペクトル密度成分の分布は、エンジンの駆動回転成分とその分数調波と有利数的な関係がないスペクトル成分を持つことが確認されたことから、この有利数的でないスペクトル成分がコンバインにおける非線形振動の発生原因と観察される。 2.振動加速度の位相軌道図とポアンカレ断面 定置試験での振動加速度の位相軌道図、ポアンカレ断面を描くと、走行状態、走行なしの状態、あるいは脱穀、刈取駆動の状態すべてに共通して、軌道点が散在する結果となった。位相軌道図の位相遅れtauは駆動周期Tの、1/4をとった。つまり、周期的な線形移動であれば位相軌道図は円になることから、コンバインの振動はスペクトルにも認められるようにホワイトノイズ的なランダム性の高いスペクトル成分を持たないことから、非線形な周期性あるいは準周期性を持つことが予測できる。また、他の文献等によれば低次元での非線形性の強い位相軌道図はカオス的な図形となり、鮮明な軌跡図形を構成するが、今回対象とするコンバインの自由度の次元は高く(6自由度)、そのために図形が点の散在を生み出したものと推測できる。この原因の究明については、次年度の課題とする。
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