1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05660298
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
坂口 栄一郎 東京農業大学, 農学部, 講師 (00147480)
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Keywords | 穀粒 / 流動 / シミュレーション / 離散要素法 / 振動分離 / 偏析 |
Research Abstract |
穀粒の調製加工処理装置の改良や新技術の開発における効率の向上、及び穀粒の流動特性の解明を目的として、穀粒の流動現象を予測できるシミュレーション手法について、本年度は籾と玄米の振動分離現象を対象にして検討し、以下の結果を得た。 1.透明のアクリル樹脂製板で幅300,高さ150,奥行き100mmの容器中に粒子層を堆積し、それに振幅2〜4cm,周波数2.7〜4Hzの垂直振動を与えることのできる加振機を製作した。初期状態として、上層と下層に物性の異なる粒子を堆積し、振動入力後の2種類の粒子の動きを容器の正面と上面の2方向から高速ビデオシャッターカメラで撮影することにより観察し、画像データから分離率を求めた。ガラスビーズ,鋼球,真鍮球を用いて、粒径差,密度差及び摩擦係数差による垂直方向の偏析現象を観察した。その結果、流動中の自由表面はほぼ水平で、粒径が大きく、密度が小さく、内部摩擦係数が大きい粒子が浮上する偏析現象が観測された。各物性について、籾と玄米の物性値の比に等しい2種類の球形材料を用いて分離率を比較した結果、粒径比の影響が大きかった。これらの実験結果を予測するために、離散要素法による2次元シミュレーションプログラムを開発した。シミュレーション結果は実験結果と定性的に一致し、その有効性が認められた。 2.下層に籾,上層に玄米を堆積して加振させた結果、玄米が沈み籾が浮上する偏析現象が観察された。そのとき球形粒子とは異なり、分離率が低く、自由表面が傾き、低い方に籾が滑り落ちて集まった。自由表面の傾きは振動条件と籾と玄米の重量比によって変化した。これらの特徴は、穀粒の回転楕円体に近い形状による配向性の影響であると考えられた。よって、籾と玄米の偏析現象を予測するには、形状を考慮したペア要素や楕円要素によるシミュレーションを行う必要がある。
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