1993 Fiscal Year Annual Research Report
貯蔵及び加工における食肉タンパク質アクチンの変性機構とその速度論
Project/Area Number |
05660307
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
池内 義秀 新潟大学, 農学部, 助教授 (90168112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 敦士 新潟大学, 農学部, 教授 (40018792)
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Keywords | アクチン / 変性 / 食肉タンパク質 / 反応速度論 |
Research Abstract |
ATP不在下、高塩濃度(0.5Mおよび1.0MKCl)でのF-アクチンの安定性についての動力学的解析をDNAaseI阻害法を用いて行った。アクチンの全変性量は貯蔵時間とともに指数関数的に増加したが、未変性のG-アクチンの量は貯蔵開始後一旦上昇し、その後指数関数的に減少した。この現象は1.0MKCl存在下で顕著だった。未変性F-アクチン、未変性G-アクチンおよび全アクチン変性量の経時変化のパターンから、アクチンの塩変性は不可逆的連続反応であることを示唆した。ATPは、脱重合アクチンから変性アクチンへの進行を抑制した。ヘビーメロミオシン(HMM)はアクチンの変性に対し2重の効果を示した。すなわち、過剰のHMMはF-アクチンの脱重合を抑制するが、HMMそれ自身は脱重合アクチンから変性アクチンへの過程を促進する。F-アクチンの安定性に対するトロポミオシンの影響について調べたところ、0.3MKCl条件下では、トロポミオシンをアクチンに添加することによってアクチンの変性は抑制されたが、0.6MKClでは、変性抑制効果は見られなかった。このことは、塩濃度の上昇に伴ってF-アクチンからのトロポミオシンの解離が起こったことに起因しているものと思われる。以上当初の研究計画通り、これまでのところ実験は順調に進んでいる。 これまでアクチンの安定化機構についての現象面の研究を主に行ってきた。今後はさらに同一実験を繰返し、そのデータを元に変性の反応速度を求める予定である。反応速度定数を求めるには正確なデータを得る必要があるので、この実験は平成6年度いっぱい要するものと思われる。また、アクチンの変性に伴う構造変化についての研究はこれまで手着かずなので、平成6年度にはこの面の研究も着手したい。
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Research Products
(1 results)