1994 Fiscal Year Annual Research Report
貯蔵及び加工における食肉タンパク質アクチンの変性機構とその速度論
Project/Area Number |
05660307
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
池内 義秀 新潟大学, 農学部, 助教授 (90168112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 敦士 新潟大学, 農学部, 教授 (40018792)
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Keywords | アクチン / 変性 / トロポミオシン / DNaseI / ヘビーメロミオシン / 塩漬 |
Research Abstract |
actin単独、actinとtropom yosin、およびactin、tropom yosin、HMM共存系について塩濃度を変えて貯蔵した後それぞれのF-actinの変性率を測定した。KCl濃度の上昇に伴ってF-actinの変性率は上昇し、両系とも0.6M KClを越えると80%以上の変性を示した。tropom yosinの共存する系では、0.3から0.6M KCl濃度下でactinの変性を抑制する効果が確認できた。actinとHMMの共存系では、少量のHMMによるactinの不安定化効果が認められた。この系にtropom yosinを添加した系では、HMMのactin不安定化効果を見かけ上減少した。また、actinとtropom yosinの共存系と同様、tropom yosinのactin安定化効果は低塩濃度側で顕著に認められた。HMMの量をHMM/actin=4の重量比で混合した系にでは、actinの変性率はactin単独の系とあまり差のない値を示した。この系にtropom yosinを添加すると、tropom yosinによるactinの安定化効果は低塩濃度側で認められた。以上の結果から、0.6M KCl濃度を境にそれ以下の塩濃度ではtropom yosinがF-actinと側面結合し、F-actin-tropom yosin複合体を形成するためF-actinの断片化は起こりにくくなること、また、F-actinが脱重合後に受ける塩の影響は高塩濃度下に比べ小さいので、変性は非常にゆっくり進行する。逆に、0.6M以上のKCl濃度では、F-actin-tropom yosin複合体からtropom yosinが解離するため、F-actinが貯蔵中断片化しやすくなり、その結果、脱重合が促進され速やかに変性が進行するものと結論した。
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Research Products
(1 results)