1995 Fiscal Year Annual Research Report
Lactococcus lactisにおける表現形質の多様性とその乳業技術的意識
Project/Area Number |
05660316
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Research Institution | NIHON UNIVERSITY |
Principal Investigator |
森地 敏樹 日本大学, 農獣医学部, 教授 (20230138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 哲也 日本大学, 農獣医学部, 講師 (60165719)
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Keywords | チーズ用スターター / lactococci / Lactococcus lactis / 長連鎖形成 / 菌体脂肪酸組成 |
Research Abstract |
菌体脂質の脂肪酸組成を比較すると、Lactococcus lactisに属する3亜菌種いずれも他の菌種に比較しC_<19>のシクロプロパン酸がかなりの割合を占めるなどの特徴があり、同定の補助的手段として有用であることが確認された。3亜菌種間ではL. lactisとL. diacetylactisはほぼ類似しているが、L. cremorisは菌株間で菌体脂肪酸組成に多様性が確認された。CVT培地を用いて市販のチーズ用混合スターターから分離した菌株の菌体脂肪酸組成は、分離源の相違により、既存のL. cremorisの組成に類似したものと、L. diacetylactisの組成に近似したものがあり、少なくともCVT培地に生育可能なL. lactisに属する菌株は2種類存在することを明らかにした。これらCVT培地で分離された多くの菌株のクエン酸利用性は旺盛なものであるが、なかにはクエン酸を全く利用できない菌株も確認された。さらに、これらクエン酸利用性を示す菌株は培地中のクエン酸を利用し非常に多量のアセトインを生成することが見い出された。なお、このアセトイン量は生成されたジアセチル量に比較して顕著に多いが、これはアセトインが、クエン酸由来のα-acetolactic acidから直接生成され、さらにクエン酸の存在によりacetoin reductaseの活性が抑制されるために起こると推察される。また、これら菌株が30mMのクエン酸の存在下で多量に生成する粘質物は少量のタンパク質と核酸を含有するが、そのほとんどが糖質で、マンノースを主な構成糖とする難分解性の多糖であることが確認された。さらに、これらの菌株のなかにはtrypsin活性やvaline arylamidase活性が強いものもあり、チーズの熟成促進に有用であるが、酸生成力が著しく弱いため既存の酸生成菌株との併用が必要であった。
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