1993 Fiscal Year Annual Research Report
新鶏膵臓ホルモン(グルカゴン様ペプチド)の単離とその生理機能の解明
Project/Area Number |
05660328
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
長谷川 信 神戸大学, 農学部, 助教授 (60107985)
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Keywords | 鶏膵臓ホルモン / グルカゴン様ペプチド / 酵素的DNA増幅法 / 組み換えシャトルベクター / 酵母発現 / 単クローン抗体 |
Research Abstract |
[研究目的]申請者らは、鶏膵臓cDNAライブラリーからグルカゴンcDNAをスクリーニングする過程で、グルカゴン前駆体cDNA内にグルカゴン様ペプチド(Glucagon Like Peptide、以下GLPと略す)をコードする塩基配列を見出した。既に、哺乳動物や魚類においてGLPの存在が確認されていることから、鶏膵臓からGLPを単離し同定できる可能性は極めて高いと判断される。 そこで、本研究の目的は、平成5年度において、まず、酵素的DNA増幅法(Polymerase Chain Reaction法、以下PCR法と略す)に従って鶏GLPをコードするDNAを増幅し、つぎに、この増幅されたDNAを用い酵母を宿主として生理活性を有するGLPを大量に生合成する。そして、生合成されたGLPに対する単クローン抗体を作製する。さらに、平成6年度において、作製された単クローン抗体をアフィニティークロマトグラフィーのリガンドに供することにより、鶏膵臓からのGLPの単離・同定を行う。また、平成5年度に生合成されたGLPを用いて、鶏におけるGLPの生理機能についてin vivo並びにin vitro条件下でグルカゴンのそれと比較検討する。 [本年度の研究成果]1)PCR法を用いた鶏GLPをコードするDNAの合成:鶏グルカゴン前駆体cDNA内のGLPをコードする塩基配列に基づいて化学合成された20merのプローブを用い、PCR法に従ってGLPをコードするDNAを大量に得た。2)酵母による鶏GLPの発現:まず、1)で得たGLPをコードするDNAをシャトルベクターpAM82(大腸菌と酵母の双方で増幅可能で、しかもPHO5プロモーターなどを有することから酵母での強力な蛋白質発現能をもつベクター)に組み込み、大腸菌JM109で増幅した。つぎに、増幅された組み換えベクターを用いて、酵母Saccharomyces cerevisiae AH22株を宿主としてGLPを大量に発現させた。最後に、発現されたGLPを常法に従って分離・精製後、そのアミノ酸配列並びに生理活性を確認した。 3)鶏GLPの単クローン抗体の作製:上記2)で得たGLPで免疫したBALB/cマウスの脾臓細胞と、マウスミエローマ細胞(P3U1)を常法に従って融合し、得られたハイブリドーマよりGLPに特異的な単クローン抗体を作製した。
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