1993 Fiscal Year Annual Research Report
精子の顕微注入法によるブタ及びニワトリ卵子の体外受精
Project/Area Number |
05660334
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
入谷 明 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (80026385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 武士 近畿大学, 農学部, 助教授 (00088189)
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Keywords | 外来遺伝子導入技術 / 顕微受精 / 不動化精子 |
Research Abstract |
本研究の最終目的は、ブタとニワトリでの精子経由による外来遺伝子導入技術として、顕微受精法を応用した体外受精系を確立することにある。本年は、不動化精子を用いた顕微受精法を確立するための基礎的研究を行った。 結果:(1)ブタにおける実験:屠場採取の卵巣から卵母細胞を採取し、炭酸ガス培養器で内で培養し70%以上の成熟率が得られた。精子は死滅精子、運動性不良精子、正常精子の3区として、それぞれ成熟卵子に顕微注入した結果、全精子の実験区で、低率ではあるが、受精像を得ることが出来た。囲卵腔内へ死滅精子を注入するだけで受精した結果は、申請者らの予想をも覆し、精子の受精に運動性は必要ないことが判明した。この結果から、精子顕微注入卵を培養することにより、初期胚を生産することが可能となり、移植可能胚への培養を検討中である。 (2)ニワトリにおける実験:未受精排卵卵子を採取し、精子は新鮮ならびに死滅の2区に分けて、それぞれ胚盤周辺に顕微鏡下で注入して体外受精させたが受精の有無は、確認できなかった。今後本研究を続けると共に、体外受精の判定法として体外培養技術の検討を行う予定である。 検討:これらの結果から、屠場より得られた卵巣から回収した未成熟卵胞卵を高率に成熟させる系の確立は、体外受精系の研究として必須の条件であり、これを確立したことは、今後の研究にとって有効である。また、顕微操作によりブタの受精卵を得られることから精子経由の遺伝子導入の可能性を実証した。さらに、死滅精子を注入するだけで受精した実験結果は、精子の運動性を重要視していた今までの受精に関する常識を一部覆すことになろう。また、ニワトリにおける実験では、未受精排卵卵子に対して顕微鏡下で精子注入し、体外受精させる方法の斬新性は変わらないが、受精の有無を常法で確認できなかったので、今後、体外培養で顕微受精卵を直接培養してその受精の有無を調べる予定である。
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[Publications] Y.Hosoi&A.Iritani: "Rabbit microfertilization" Mol.Reprod.Dev.36. 282-284 (1993)
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[Publications] TMitani,K.Utsumi&A.Iritani: "Developrnental alility ob enacleated bovine oocytes matured in uitvo afterfusion with single blastomere of etghtcell emboyos matured and fentiliqod in uitro" Mol.Reprod.Dev.34. 314-322 (1993)
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[Publications] 入谷明: "配偶子と胚を保存する" 遺伝. 47. 17-21 (1993)