1993 Fiscal Year Annual Research Report
嗅覚系の個体発生におけるプログラム細胞死の発現と細胞の分化-in situ hybridization,免疫組織化学ならびにレクチン組織化学による解析
Project/Area Number |
05660336
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
谷口 和之 岩手大学, 農学部, 助教授 (70148089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 和重 岩手大学, 農学部, 講師 (60231221)
鈴木 幸一 岩手大学, 農学部, 助教授 (20003791)
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Keywords | プログラム細胞死 / 細胞の分化 / 個体発生 / 嗅覚受容器 / 嗅球 / 免疫組織化学 / レクチン組織化学 / in situ hybridization |
Research Abstract |
哺乳動物の嗅覚系の全体像については不明な点が多いが、一次嗅覚系は嗅覚受容器である嗅上皮、鋤鼻器、マセラ器及びこれらの中枢である嗅球(主嗅球、副嗅球)によって構成されている。本研究ではこの一次嗅覚系におけるプログラム細胞死の発現と細胞の分化についてin situ hybridization、免疫組織化学、レクチン組織化学による検討を行った。神経特異的蛋白といわれるprotein gene product 9.5(PGP 9.5)の局在を免疫組織化学的に検索すると、PGP 9.5抗体は嗅覚受容器の感覚細胞、嗅球の僧帽細胞、短軸索細胞に強い反応を示したが、嗅覚受容器の基底細胞には反応を示さなかった。基底細胞は未分化な感覚細胞であるため、PGP 9.5は一次嗅覚系の成熟したニューロンに発現すると考えられた。また、細胞の膜構造に存在する糖鎖を特異的に認識する各種レクチンを用いて検索すると、嗅覚受容器の感覚細胞には多数のレクチンが強い反応を示したが、基底細胞に反応を示すレクチンはごく少数であった。このことは、糖鎖が細胞の分化成熟につれてその膜構造に付加されて行くことを示している。さらに、変性中の感覚細胞にのみ強い反応を示すレクチンも存在するため、糖鎖はプログラム細胞死の発現とも密接な関係を有することが示唆された。一方、プログラム細胞死の発現に関与するといわれる一酸化窒素合成酵素(NOS)の局在をin situ hybridizationによって検索すると、NOSのシグナルは嗅球の短軸索細胞及び顆粒細胞に強く発現していた。以上より、嗅覚系におけるプログラム細胞死の発現と細胞の分化には様々な蛋白、糖鎖、酵素などが関与するが、嗅球においてはこれらの過程において短軸索細胞が果たす役割の大きいことが示唆された。なお、研究期間の制約上、本研究では個体発生に関する検討が不充分であった。
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[Publications] Taniguchi,K.: "Fine structure of the septal olfactory organ of Masera and its associated gland in the golden hamster." J.Vet.Med.Sci.55. 107-116 (1993)
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[Publications] 及川寿浩: "スンクス(Suncus murinus)鋤鼻器の微細構造" 実験動物. 42. 411-419 (1993)
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[Publications] Taniguchi,K.: "Immunohistochemical demonstration of protein gene product 9.5(PGP 9.5)in the primary olfactory system of the rat." Neurosci.Lett.156. 24-26 (1993)
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[Publications] Taniguchi,K.: "Subdivisions of the accessory olfactory bulb,as demonstrated by lectin-histochemistry in the golden hamster." Neurosci.Lett.158. 185-188 (1993)
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[Publications] 斎藤治美: "ラットの嗅覚受容器(嗅上皮,鋤鼻器,マセラ器)のレクチン結合様式について" 実験動物. 43. 51-60 (1994)