1993 Fiscal Year Annual Research Report
豚萎縮性鼻炎起因菌が産生する壊死毒素による鼻甲介骨障害に関する病理学的研究
Project/Area Number |
05660352
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
吉川 堯 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (80050467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山田 敏文 北里大学, 獣医畜産学部, 講師 (20160947)
佐々木 卓士 北里大学, 獣医畜産学部, 助教授 (80106682)
吉川 博康 北里大学, 獣医畜産学部, 助教授 (70101516)
佐藤 博 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (30001522)
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Keywords | 豚萎縮性鼻炎 / Bordetella bronchiseptica / Pasteurella multocida / 壊死毒 / 株化骨芽細胞 / アルカリフォスファターゼ / コラーゲン |
Research Abstract |
豚の萎縮性鼻炎(AR)の起炎菌であるP.multocida(Pb)とB.bronchiseptica(Bb)由来の壊死毒素(DNT)の障害作用について,分化度の異なる3種の骨芽細胞系株化細胞(MC3T3-E1,KS-4,C3H10T1/2)を用いて細胞学的に検討した。得られた成績は次の通りである。 1)各細胞について両DNTを処理し、ニュートラルレッドの取り込み量を測定し、細胞増殖活性を調べた。MC3T3E-1は両DNTのそれぞれ100ng/ml以下の処理では増殖因子的に働いたが、Bb-DNT1,000ng/mlの高濃度処理では細胞分裂を阻害し、増殖抑制的に働いた。 2)MC3T3-E1に1,10および100ng/mlの両DNTを処理し、アルカリフォスファターゼ(ALP)染色および抗コラーゲン血清を用いたABC法で細胞機能の変化について観察した。両DNT低濃度処理で、ALP活性およびコラーゲン産生能は、持続的に抑制された。 3)各細胞に1,10および100ng/mlの両DNTを処理し、細胞形態の観察を行った。MC3T3-E1はBb-DNT処理で細胞は膨化し、細胞質に小空胞を形成していた。また,しばしば多核細胞化していた。Pm-DNT処理に比べ、Bb-DNT処理細胞は障害性変化が著しく、ミトコンドリア、小胞体の膨化ないし空胞状拡張が認められた。以上の結果から、Bb-DNTは細胞に対して強い障害を与え、ALP、コラーゲンなどの分泌障害をもたらし、骨形成機能減退に関与することが推考された。
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