1993 Fiscal Year Annual Research Report
我が国の養殖海水魚類における外部寄生性原虫のサーベイおよびその病原性に関する検索
Project/Area Number |
05660356
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
今井 壮一 日本獣医畜産大学, 獣医畜産学部, 教授 (90120758)
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Keywords | 魚病 / トリコジナ / 外部寄生虫 / 養殖魚 / 分類 |
Research Abstract |
本年度はここ数年発生が比較的顕著にみられるトラフグの鰓に寄生するトリコジナについての検討を行った。検討した試料は静岡県田子の養殖場より得たホルマリン固定材料である。鍍銀法ならびに走査電子顕微鏡観察により形態学的観察を行った結果、得られた虫体はドーム状の外形を有する1種で、体の直径平均57.8mum、直径39-54mumの付着盤をもち、その中に29-35個(平均31.6)の棘歯を有していた。付着盤の中央は不透明な暗色を呈し、棘歯の外側突起は特徴的な棒状であった。これらの所見を従来報告されているフグ類寄生の3既知種と比較したところ、それぞれの種とは明瞭な相違点が存在したことから新種であると考えられた。走査電顕による観察では、体後部に存在する下部繊毛装置の周囲繊毛環における繊毛が長く、疎に派生していることが本種の特徴として認識された。この結果より、我が国の海産魚には当初の予測通り固有種が存在することが明らかとなった。現在までにトラフグより得られているのはこの1種のみであり、このことが全国の養殖トラフグに共通なものであるか否かについてはなお今後の調査に待つところが多いが、入手経路については現在折衝中である。同定に引き続いて宿主の病理学的検索を実施している。また、現在他の魚種に寄生の見られたトリコジナの材料についても入手しており、本年度と同様、まず種の同定を行った後病理学的検索を行う予定である。
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