1994 Fiscal Year Annual Research Report
脳および循環器系に対する環境汚染物質の障害作用とその動態についての基礎的研究(特に、重金属元素であるバナジウムとカドミウムの作用について)
Project/Area Number |
05660357
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
植田 富貴子 日本獣医畜産大学, 獣医畜産学部, 講師 (00168634)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 一政 日本獣医畜産大学, 獣医畜産学部, 助教授 (80060531)
中條 真二郎 日本獣医畜産大学, 獣医畜産学部, 助教授 (00060517)
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Keywords | バナジウム / カドミウム / 重金属類 / 環境汚染 / 脳 / 循環器系 / 野鳥 / ラット |
Research Abstract |
カドミウム(Cd)については5年度からの問題点の解決を続行中であるため、ここでは6年度に行ったバナジウム(V)の結果のみを記載する。 1)Vの測定は原子吸光法では困難なので、ICPでのVの測定条件を検索した結果、投与濃度と測定濃度との間に良好な直線関係が得られ、回収率は約95%となった。そこで摘出血管を用いてVの取り込みを検討した。この結果、組織のV量は時間経過に伴って有意に増加し、この増加はEDTA洗浄により約10%程度まで減少したが、この分布についての新たな疑問が生じた。そこでこれについて、同族元素であるタンタル(Ta)を用いることによってもさらに検討を進めている。Cdとの相互作用については検討中である。 2)Vの作用に対する内因性物質の関与についての検討では、摘出平滑筋の電気刺激による筋収縮をVが増強する効果が認められたので、この増強機構について現在は検討中である。 3)Fura2を用いた実験系では、低濃度のV(≦10^<-4>M)の存在下で細胞内Caレベルの顕著な増加を示すのに対して、高濃度域(≧10^<-4>M)のVの存在下では、急峻なCaレベルの低下が生じ、測定が不可能になる現象が生じたので、蛍光指示薬あるいは蛍光波長域を変更する等により、低濃度の場合とは別に検討を行っている。 4)スキンド・ファイバーを用いた実験系ではCa収縮がVにより顕著に抑制され、以前行ったグリセリン処理筋を用いた実験の成績とは異なり、強い作用を有していることが確認された。従って、この作用が収縮蛋白系に対する直接的な作用であるのか、細胞内情報伝達系に作用した結果に基づく作用であるかについて、β-escinあるいはTriton X-100処理筋を用いて現在検討中である。 5)野鳥を用いた疫学調査は昨年より続行中であるが、全国から水禽類(カモ類)を中心に約300羽(約2400サンプル)を入手している。これらから得られた成績をもとに、多変量解析を行い元素間の相関についての解析を始めており、鳥の種類によって汚染状況が異なる可能性が示唆されつつある。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Fukiko UEDA(共著): "Trasport of Zinc-65 at the Blood-Brain Barrier during short Cerebro-vascular Perfusion in the Rat-its Enhancement by Histidine." Journal of Neurochemistry(U.S.A). 62. 665-672 (1994)
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[Publications] Fukiko UEDA(共著): "Contrasting uptake of ^<59>Fe into spleen,liver,kidney and other soft tissues in normal nice and hypotransferrinaemic mice" Biochemical Pharmacology(U.K.). 47(6). 969-974 (1994)
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[Publications] Shimizu K.& Nakajyo S.: "Effect of phorbol ester,12-deoxyphorbol 13-isobutylate(DPB),on muscle Tension and cytosotic Ca^<2+> in rat anococcygeus muscte." Japanese Journal of Pharmacotogy. (予定).
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[Publications] Shimizu K.& Nakajyo S.: "The effects of α,agonists on the contractile tension and cytosolic Ca^<2+> level in rat anococcygeus muscle" J.Smooth muscle Res Com.(予定).