1993 Fiscal Year Annual Research Report
乳牛の起立不能症の予防に関する研究-とくに飼料中の陽陰イオンの面から-
Project/Area Number |
05660363
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
内藤 善久 岩手大学, 農学部, 教授 (40003785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 れえ子 岩手大学, 農学部, 助教授 (80142892)
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Research Abstract |
本研究は乳牛の分娩に起因した起立不能症(低Ca血症)の予防法を確立することを目的として、本年度は緬羊に陽イオン交換樹脂(以下樹脂)をフイステルを通じて投与し、陽陰イオンバランス(以下DCAB)を変えることによる生体の酸・塩基平衡と無機質とくにCa代謝に及ぼす影響について検討した。 1.材料と方法 (1)供試動物:コリデール種雄緬羊4頭。 (2)方法:(1)あらかじめ第一胃フイステルと頚動脈ループの形成術を施し、代謝ケージにて飼育した。(2)用いた陽イオン交換樹脂はアンバーライトIR-122(オルガノ製)200ml/頭である。(3)群を対照期と投与期とに分け、血液および第一胃内容液、尿をそれぞれ定められ時間に採材した。 2.結果 (1)樹脂の投与により血液pHおよび血漿HCO_3^-濃度は低下し、一方血漿Cl濃度は上昇した。 (2)樹脂の投与による血漿総CaとイオンCa濃度および血漿1,25(OH)_2D濃度には影響は見られなかった。しかし、血漿Pi濃度は減少し、尿中Pi排泄量は増加する傾向を示した。 (3)樹脂の投与により第一胃内容液pHは低下した。 3.結論 以上の結果から樹脂の投与によって陽イオンの吸収は阻害されて、明瞭な代謝性アシドーシスの発現することが明らかとなった。また、そのアシドーシスは血液pH7.280と対照群7.500に比較して著しい低下にもかかわらず、臨床症状の発現は認められず、今後の代謝性アシドーシスとCa代謝やCa制御ホルモンとの関係を明らかにする上で、新しい知見を得ることが出来た。
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