1993 Fiscal Year Annual Research Report
耐熱性溶血毒産生性腸炎ビブリオに対するイシマキガイの認識機構に関する研究
Project/Area Number |
05660365
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
熊澤 教眞 鳥取大学, 農学部, 助教授 (00039926)
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Keywords | 腸炎ビブリオ / 耐熱性溶血毒 / 定着 / イシマキガイ |
Research Abstract |
耐熱性溶血毒(TDH)産生性腸炎ビブリオはイシマキガイの消化管から高頻度で検出される。我々は水槽内で飼育するイシマキガイの消化管内への腸炎ビブリオの定着実験を試み、TDH産生菌はTDH非産生菌よりもより高濃度に定着する傾向があるとの成績を得た(Kumazawa et al.,1988)。TDH産生菌の検出される水域には小さい個体が多いことに生態調査時から気づいていたが、貝の成熟度が本菌の定着量に影響すると予想していなかったために、この実験には採取の容易な1.5-2.5gの個体を用いた。その後、イシマキガイの血液細胞の活性は成貝と稚貝で大きく異なることが判明し、腸炎ビブリオのレゼルボアは稚貝である可能性が高くなった。そこで本研究では紫外線照射装置付還流式水槽内で人工海水(塩分濃度20^0/_<00>、水温28℃)中で飼育する成貝(3.0-4.8g)と稚貝(0.2-0.9g)の消化管への腸炎ビブリオの定着量を測定した。その結果、稚貝ではTDH産生菌D-3株は10^4〜10^5cfu/gレベルで少なくとも21日間生残するが、N-18株とR-13株(いずれもTDH非産生株)は10^1〜10^2cfu/gまで減少すること、成貝ではいずれの菌株も10^0cfu/gレベルまで減少することが明らかになり、腸炎ビブリオのレゼルボアはイシマキガイの稚貝であることが確認された。次に、腸炎ビブリオに対するイシマキガイのレセプターを検出する目的で、貝の血漿因子の解析を開始した。まず、イシマキガイとアマオブネ(イシマキガイに近縁の海産巻貝。腸炎ビブリオは本貝の消化管内に定着しないことから、腸炎ビブリオとイシマキガイとの相互作用を解析するための対照として用いている。)の血漿の電気泳動パターンの差を確認する実験を始めた。現在はイシマキガイとアマオブネからの血漿の採取、モルモットを用いた抗イシマキガイ血漿抗体と抗アマオブネ血漿抗体の作成、貝血漿の泳動条件の検討を行っている。
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