1994 Fiscal Year Annual Research Report
形質転換法により作出した発光性細菌を用いる新しい残留試験法
Project/Area Number |
05660367
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
近藤 房生 宮崎大学, 農学部, 教授 (40145404)
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Keywords | 形質転換 / 薬剤耐性株 / 抗生物質 / plasmid DNA / 残留試験 |
Research Abstract |
市販のルシフェラーゼ・アッセイ用ベクター遺伝子(luciferase geneを組み込んだPUC由来Plasmid)を用いて,遺伝子導入法(ジーンパルサー法)により,繰り返しBucillus subtilis ATCC-6633,Micrococcus luteus ATCC-9341,および Escherichia coli NIHJの形質転換株を作出する努力をしたが,現在のところ安定的に発光する形質転換株の作出に成功していない。形質発現の遺伝子部を他の菌種の染色体DNA中に安定的に組み込むことはそれほど容易ではなく,偶然の要素もある。従って,さらに同様の実験を繰り返し行う必要があると判断した。 そこで平成6年度は,上記実験と併行して,残留抗菌性物質の微生物学的検査法の新しい試験菌として,抗生物質に対する耐性株の作出を試みた。すなわち,形質転換用遺伝子として,KM耐性plasmidをコードするpHSG298 DNA,CP耐性plasmidのpHSG396 DNA,ABPC耐性plasmidのpBR322 DNAおよびABPCとTCの両方の耐性plasmidであるpHY300 DNAの4種類を用い,一方,Competent cellとして,E.coli HB101,JM109,NIHJおよびATCC-27166の4株を使用し,形質転換法はカルシュウム法により,各耐性株の作出を試みた。さらに,作出した各耐性株を用いて,近縁の抗生物質に対する交差耐性の有無を最小発育阻止濃度およびデスク法によって確認した。 その結果,各耐性株が容易に得られ,形質転換株は培地継代に対しても安定的に薬剤耐性を維持していた。また耐性株はアミノイグリコシド系抗生物質のうちフラジオマイシンに対して交差耐性を示した。ゲンタマイシンや他の系統の薬剤との間には交差耐性は見られなかった。一方,ABPCおよびTC耐性株は同系列の薬剤に対してのみ耐性であった。ところで,E.coli ATCC-27166とその耐性変換株の組み合わせを用いた時、最も検出感度の優れた成績が得られた。今後は,B.subtilisやM.luteusなどのグラム陽性菌を用いて同様の試験を実施して行きたいと考えている。
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