1994 Fiscal Year Annual Research Report
CAM植物におけるPEPカルボキシラーゼのリンゴ酸感受性の種変異と制御機構
Project/Area Number |
05660380
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
野瀬 昭博 佐賀大学, 農学部, 助教授 (80045137)
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Keywords | CAM / PEPカルボキシラーゼ / リンゴ酸感受性 / 細胞内分布 / 等電点電気泳動 |
Research Abstract |
PEPカルボキシラーゼのリンゴ酸感受性が,特徴的に異なるパインアップル,コダカラベンケイ,セイロンベンケイの3種類のCAM植物について検討した.まず,細胞内におけるPEPカルボキシラーゼの存在部位に種間差が認められた.セイロンベンケイでは,細胞質と葉緑体包膜表面にほぼ1:0.75の割合で分布し,コダカラベンケイでは,細胞質:葉緑体包膜表面:葉緑体包膜内に1:0.23:4.6の割合で分布していた.パインアップルでは,細胞質:葉緑体包膜表面:葉緑体包膜内に1:0.27:0.51の割合で分布していた.つまり,PEPカルボキシラーゼのリンゴ酸感受性の顕著な日変化をしめすセイロンベンケイでは,PEPカルボキシラーゼが,細胞質と葉緑体包膜表面という遊離状態に近い部位に存在した.PEPカルボキシラーゼのリンゴ酸感受性に殆ど日変化を示さなかったコダカラベンケイでは,大半のPEPカルボキシラーゼは葉緑体包膜内に存在した.PEPカルボキシラーゼのリンゴ酸感受性の日変化が,セイロンベンケイとコダカラベンケイの中間型を示すパインアップルは,PEPカルボキシラーゼの細胞内における分布割合も,中間的な特徴を有していた.つまり,CAM植物のPEPカルボキシラーゼのリンゴ酸感受性の日変化特性は,酵素の存在様式と深く係わっていることが明かとなった.等電点電気泳動による,PEPカルボキシラーゼの純化を検討した結果,パインアップルのPEPカルボキシラーゼの等電点(pI)は,5.4〜5.6にあることが明かとなった.また,CAM植物からのPEPカルボキシラーゼの等電点電気泳動法を用いた分離において10%グリセロールの共存が必要である.
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