1993 Fiscal Year Annual Research Report
ウシ赤血球中に存在する線溶活性作用増強物質の分離とその生理機能に関する研究
Project/Area Number |
05660381
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Research Institution | Hiroshima Prefectural University |
Principal Investigator |
堀内 俊孝 広島県立大学, 生物資源学部, 助教授 (70209279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
建本 秀樹 広島県立大学, 生物資源学部, 助手 (70227114)
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Keywords | 赤血球 / 線溶 / プラズミノーゲン・アクチベーター / ウシ |
Research Abstract |
ウシ赤血球中に存在する線溶機能増強因子を分解・精製するため、供試サンプル調製法の確立と活性化物質の分離・精製法の検討を行い,以下の知見が得られた。 (1)ウシ全血液に3.8%クエン酸ナトリウムを添加し,セルロース・カラムクロマトグラフィによる濾過と8000G60分の遠心で赤血球液の調製が可能であった。 (2)赤血球液に2倍容量の蒸留水を添加することで溶血液を作製し,105,000G60分の超遠心で水溶性分画を得た。この分画には,ウシプラズミンのフィブリン溶解能を増強する作用があることを,フィブリン平板法とS-2251によるアミダーゼ活性測定で確認した。また,ウシプラズミノーゲンをヒトUKで活性化させたとき,溶血液の添加はUK単独の場合の約2倍の活性能を示した。 (3)高速液クロによる分画では,ヘモグロビンに一致する画分に最も高い活性が存在した。 (4)ザイモグラフィによって,43Kと30Kに活性が認められた。 (5)ハドロキシアパタイトとリジン・アガロースによるアフィニティクロマトグラフィによって,この活性はヘモグロビンやアルブミンと異なるタンパク質でリジンの親和性に乏しいことがわかった。また,フィブリン基質中のプラズミノーゲンの存在に依存し溶解面積が増大することからプラズミノーゲンアクチベーターの作用増強タンパクの可能性が示唆された。 (6)溶血液からの活性化成分の分解は,ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィ,リジン・アガロースクロマトグラフィ,FPLCおよび限外濾過によって得られ,その分画によってプラズミノーゲン測定用合成発色基質S-2251に対するアミド分解能は著しく増強されたが,ウロキナーゼ測定用合成発色基質S-2444に対するアミド分解能には影響は見られなかった。
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