1994 Fiscal Year Annual Research Report
アンギオテンシンII起因疾患と長期増強現象との関連を探るモデル細胞の樹立とその解析
Project/Area Number |
05660384
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宮崎 均 筑波大学, 応用生物化学系, 助教授 (40183636)
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Keywords | アンギオテンシンII受容体 / AtT20 / ACTH / ホスホリパーゼC / カルシウムチャンネル / アデニレートシクラーゼ |
Research Abstract |
1.ヒト組換え型アンギオテンシンII(AII)受容体タイプ1(AT1)を安定に発現する脳下垂体前葉由来の細胞株AtT20を用い(平成5年度に樹立)、AII依存的アドレノコルチコトロピン(ACTH)分泌とAIIで誘導される細胞内情胞伝達経路の関連を詳細に解析した。その結果、(1)AIIで誘導されるホスホリパーゼCの活性化、電位依存性カルシウムチャンネルの活性化、アデニレートシクラーゼ活性の抑制のうち、前者2経路がACTH分泌を担うことが明かとなった。(2)ACTH分泌の主要な因子であるCRFの作用はcAMP依存的であるが、AIIとCRF同時添加で、AIIはアデニレートシクラーゼ活性を抑制しcAMPを低下させたにもかかわらず、ACTH分泌に対して両者は協調的に働くことが分り、本細胞がカルシウム系とcAMP系の情報伝達経路のクロストークを調べるのに適した細胞であることが示唆された。 2.本細胞においても、神経細胞での長期増強現象と類似の現象が観察されるかを調べるため、本細胞をカラムに充填した環流実験系の確立を試みた。ディッシュ上に細胞を培養する実験系に比べ、環流実験系ではAII非刺激時におけるACTH分泌のバックグランドが高く安定したデータが得られなかった。現在ディッシュを用いた系に戻し、長期増強現象を観察できる条件を検討中である。
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