1993 Fiscal Year Annual Research Report
新規な特異性を持つδ-内毒素の遺伝子工学的作製法の確立
Project/Area Number |
05660385
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
佐藤 令一 東京農工大学, 農学部, 助手 (30235428)
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Keywords | Bacillus thuringiensis / δ-内毒素 / 一本鎖モノクローナル抗体 / キメラタンパク |
Research Abstract |
平成6年度研究計画書に述べたように実験の順番を若干変更し、以下の2点を実施した。 1.モノクローナル抗体の作製:(1)カイコの中腸上皮細胞上の刷子縁から膜タンパク質を含む小胞(刷子縁膜小胞)を調製し、これをマウスに免疫してモノクローナル抗体を作製した。また、in vitroのアッセイ系でカイコ胚由来培養細胞BoMo15Aに対する傷害活性を検討できるようにするため、これらのモノクローナル抗体の中から本培養細胞に結合するものを5種スクリーニングした。(2)δ-内毒素が毒性を発揮するためには本来のレセプターに結合することが必須である場合も想定できる。そこでカイコ中腸上に存在するレセプターに対するモノクローナル抗体の作製を試みた。すなわち、リガンドブロッティングでδ-内毒素が結合するカイコ中腸由来膜タンパク質をSDS-PAGEで粗精製し、これを免疫源としてモノクローナル抗体を作製した。これらのうち、リガンドブロッティングにおいて見かけ上δ-内毒素と同じ膜タンパク質に結合する抗体を3種選択した。現在これらが本当にレセプターを認識するものであるか否かをさらに検討中である。 2.δ-内毒素高発現系の作製:δ-内毒素の活性最小単位とされる領域を遺伝子工学的手法で作製した。すなわち、tacプロモーターをもつ発現ベクターにコガネムシに特異的に殺虫活性を持つδ-内毒素の遺伝子(カイコには殺虫活性を持たない当研究室で単離したδ-内毒素の遺伝子)をつなぎ、大腸菌JM103を形質転換して封入体として大量に毒素を生産させることに成功した。しかし、生産された毒素タンパク質は予想された分子量より小さく、殺虫活性も認められず、プロテアーゼによる分解の関与が示唆された。そこで、lonプロテアーゼ欠損株Y1090を形質転換し、現在本株の産生した毒素の活性について検討中である。
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