1993 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫におけるアルドラーゼ遺伝子の分子進化とアイソザイムの生成機構
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05660390
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Research Institution | Seinan Jo Gakuin University Junior College |
Principal Investigator |
杉元 康志 西南女学院短期大学, 食物栄養科, 助教授 (10100736)
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Keywords | ショウジョウバエ / カイコ / アルドラーゼ / 遺伝子 / 分子進化 / アイソザイム |
Research Abstract |
ショウジョウバエとカイコを使って昆虫のアルドラーゼアイソザイムの生成機構について調べた。ショウジョウバエのcDNAライブラリーからアルドラーゼクローンを単離し、これをプローブとしてゲノム遺伝子の塩基配列を決定した。その結果、ショウジョウバエアルドラーゼ遺伝子はゲノム上1個で最終エキソンの選択的スプライシングによって、3種のアイソザイム(alpha,beta,gamma)が生成されることが予想された。PCR法で3種のアイソザイムをつくるcDNAを合成し、これを発現ベクターに導入して、タンパクを生産させ、アルドラーゼ活性の比較を試みた。これらのcDNAはいずれも活性あるタンパクを作り出すが、Km値、FBP/F1P比、温度安定性や等電点に差が見られた。タンパク的にはC末側の30個のアミノ酸領域にわずかな違いが見られるに過ぎないが、酵素の特異性に関してはC末側の構造が重要であることが強く示唆された。また、cDNAを単離するにあたり、C末側のエキソンを2つもつ新しいタイプのmRNAが存在することが観察され、4-3と名付けたクローンはalphaとbetaの両者のアイソザイムが作られる可能性が示唆されので、これを発現ベクターでタンパクを作らせ、活性あるそのタンパクのアミノ酸配列を決定した。これより出来るアイソザイムはalpha型であった。alphaと作ると考えられるmRNAには明確なポリAシグナルがないのでbetaのシグナルを利用していると推察された。 一方、カイコには2種のアルドラーゼアイソザイムが存在していたが、そのうちの1つのcDNAを単離した。これは卵や脂肪体に見られるタイプと思われ、ショウジョウバエのアルドラーゼと80%のホモロジーをもっており、ヒトとは70%であった。また別のアイソザイムは現在スクリーニング中で、これをコードすると思われるタンパクの性質からして遺伝子構造にかなりの変化が予想される。ゲノム構造も解析中である。 本年度はアルドラーゼアイソザイムの遺伝子構造を明らかにしたが、次年度は分子進化の問題とアイソザイム生成のメカニズムにアプローチを行う。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] N.Nagaoka,Y.Sugimoto,M,Yara and K.Koga: "Reaasessment of changes in substrate specificity of aldolase during embryogenesis in Bombyx mori." J.Se ric.Sci.Jpn.63(2)(in press). (1994)
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[Publications] M.Yara,E.Kosegawa,Y.Sugimoto and K.Koga: "Comparison ot translation product of mRNA from unfertilized and early eggs of Bombyx mori." J.Seric.Sci.lpn.63(in press). (1994)