1993 Fiscal Year Annual Research Report
膀胱上皮をモデルとした上皮細胞増殖制御機構に関する研究
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05670013
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
渡辺 定博 岡山大学, 医学部, 助手 (00175093)
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Keywords | 膀胱上皮 / 細胞増殖 / EGF / EGFレセプター / フォルボールエステル |
Research Abstract |
本研究の目的は、TPA処理で剥離した膀胱上皮細胞の再生過程における細胞増殖に対し、上皮成長因子(EGF)が関与するかどうかを、EGF抗体を用いて検索することである。これに関して、EGF抗体を膀胱内へ注入し、EGFレセプターをin vivoでブロックする実験を行ってきた。これまでのところ、EGF抗体処理による細胞増殖阻害効果は認められず、膀胱上皮細胞の増殖にEGFは関与しないという結果になっている。しかし、抗体の結合特性や、抗体の処理時間、さらには膀胱上皮層におけるEGFレセプターの発現などを考慮すると、必ずしも現時点で、EGF抗体が膀胱上皮の細胞増殖を阻害しないとは言い切れない。特にEGFレセプターの発現に関して、文献的には、移行上皮層の基底細胞に特異的に発現するといわれてきたが、実際に抗体染色を行ってみると、正常状態で必ずしも基底細胞に発現が認められない。従って本実験系では、TPA処理後のEGFレセプターの動態をより詳細に検討する必要があり、この点を考慮しながら、次年度も本テーマの研究を続けたい。 一方、次年度の研究計画に、移行上皮細胞の立体再構築を行って、移行上皮各層の細胞と基底膜の関係を明らかにするテーマが掲げられているが、これに関連して特筆すべき成果が得られた。それは、horseradish peroxidase(HRP)を用いて表層細胞を特異的に染め出す手法を考案したことである。これにより、目的の細胞の全体像を画像処理により確実に抽出可能となり、立体再構築を行う上で非常に有用である。一方、HRPが表層細胞に特異的に取り込まれる現象自体も、膀胱上皮の物質取り込みという観点から非常に興味深い現象であり、移行上皮細胞の新しい機能につながるのではないか考えている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Sadahiro Watanabe: "Regeneration of Rat Urinary Bladder Epithelium after 12-0-Tetradecanoylphorbol-13-Acetate-Treatment:Scanning and Transmission Electron Microscopic Study" Acta Anatomica Nipponica. 68. 204-212 (1993)
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[Publications] 渡辺定博: "膀胱上皮細胞のHRPラベルによる可視化" 解剖学雑誌. 69 (発表予定). (1994)