1993 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ管の固体発生および再生過程の形態的・機能的解明
Project/Area Number |
05670018
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
江崎 太一 熊本大学, 医学部, 助手 (10128259)
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Keywords | 微小循環 / リンパ管 / 内皮細胞 / 固体発生 / 再生 / モノクローナル抗体 / 免疫組織化学 / 多重免疫染色 |
Research Abstract |
平成5年度の計画は、胎生期から離乳期(生後4週頃)までの毛細リンパ管の発生分化の状態を形態と、吸収機能の両面から解析することであった。そこで、これまでに我々が作成したリンパ管や微小血管に対するモノクローナル抗体を用いて、免疫組織学的にリンパ管の同定を行なった。また、新たに増殖細胞核抗原(PCNA)に対する抗体や平滑筋特異的アクチンに対する抗体を用いて、各脈管系の増殖度や平滑筋の発達度の検索を行なった。検索組織としては、主に小腸絨毛、腸間膜、及び皮下などの結合組織を用いた。 胎生19日の腸管においては、まだ腸絨毛の発達自体が悪く、毛細血管網の形成も不完全であった。中心乳〓腔らしい管腔がわずかに認められるがB27陰性だった。一方、粘膜下の結合組織や腸間膜などに見られる集合リンパ管はすでに形成され、弱いながら基底膜も伴っていた。この時期の内皮細胞は、血管系でもリンパ管でも、腸管の上皮や平滑筋に比べてPCNAの陽性度は低かった。授乳の始まった生後1日目では、各組織における血管網の発達が著しく、基底膜や中膜の平滑筋の発育度も良い。中心乳〓腔も管腔はまた狭いものの、B27で明らかな陽性に染色された。組織におけるリンパ管は形態的には成体のもの並にまで成長していたが、PCNAの陽性度は依然として高かった。 以上のことから、リンパ管の発生は胎生期よりすでに始まってはいるものの、血管系より遅れてより未熟に発生してくる可能性と、やはり授乳開始とともに急激にその発生が加速される可能性が示唆された。今回は、リンパ管発生の三次元的解析と機能面での検索が完了できなかったが、今後、これらの検索を急ぐとともに、電子顕微鏡によるリンパ管の初期発生の微細構造についても検索を加え次年度のリンパ管再生の研究につなげたい。
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