1993 Fiscal Year Annual Research Report
凍結超薄切片を用いての酸素活性の検出-電顕酵素組織化学の新手法
Project/Area Number |
05670030
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
福島 統 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60173332)
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Keywords | 凍結超薄切片 / 酵素組織化学 / 電子顕微鏡 / cytochrome c oxidase / 蛋白分解酵素 |
Research Abstract |
凍結超薄切片法では、生物試料に脱水・包埋操作を加えることなく電子顕微鏡で観察可能な超薄切片を得ることができる。この特徴を電子顕微鏡酵素組織化学の分野に適用して従来の方法では得られない知見を得る努力を行った。 1.凍結超薄切片酵素組織化学(新手法)と従来法との比較: 酵素活性を電子顕微鏡下で観察することのできる鉛法(各種phosphatase類)、DAB法(cytochrome c oxidase,catalase,peroxidase)での結果を、凍結超薄切片上で検出する新手法と、40mum切片で検出後エポン包埋超薄切で観察する従来法とで比較検討した。上記酵素活性の局在に関しては両方法とも同一であったが、cytochrome c oxidase活性は新手法で検出した方が有意に検出感度が高かった。この結果については平成6年度組織細胞化学講習会において発表する予定である。 2.凍結超薄切片でのcytochrome c oxidase活性検出の利点: 凍結超薄切片ではすべてのミトコンドリアに本活性が認められるが、従来法では40mum切片の表層部では80%、切片厚中央部では30%のミトコンドリアにしか活性が認められなかった。凍結超薄切片では形質膜及びミトコンドリア膜がすべて割断されているため、浸漬液が酵素存在部位に容易に達するために、再現性良く酵素活性が検出されていると考えられた(J.Electron Microsc.42:351-355,1993)。 以上のように凍結超薄切片は酵素組織化学にとり有用な方法であり、今後は、従来法では不可能であったアゾ色素法(蛋白分解酵素を中心に)、テトラゾリウム法、そして多段階法への応用を試みていく。
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