1993 Fiscal Year Annual Research Report
副甲状腺ホルモンによる接合尿細管Ca輸送の調節機序
Project/Area Number |
05670054
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
谷口 淳一 自治医科大学, 医学部, 講師 (90179838)
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Keywords | Ca^<2+>代謝 / Ca^<2+>排泄 / 副甲状腺ホルモン / cAMP / 接合尿細管 / 管腔側膜 / 非選択性陽イオンチャネル / 膜張力依存性チャネル |
Research Abstract |
副甲状腺ホルモン(PTH)は接合尿細管管腔側膜のCa^<2+>再吸収を促進するが、PTHが調節する輸送媒体は不明だった。私はCa^<2+>再吸収がNa^+再吸収と関連することから、管腔側膜にPTHによって調節される非選択性陽イオンチャネルがあると予測し、ウサギ接合尿細管を反転して管腔側膜を露出し、パツチクランプを試みた。その結果をまとめると、 1.反転した接合尿細管管腔側膜をcell attachedパッチクランプすると、パッチピペット内に140mM NaClを満たした場合も、200mM CaCl_2を満たした場合も、そのままではほとんどチャネル活性は認められなったが、ピペット内に4.9KPaの陰圧をかけるとどちらの場合も、5〜10倍チャネル活性が有意に上がった。これにPTHの2次メッセンジャーであるcAMPの膜透過性誘導体、chlorphenylthio-cAMPを0.1mM投与すると、活性はさらに3〜4倍有意に上昇し、平均開チャネル数は0.08〜0.09になった。 2.ピペットに140mM NaClを満たした場合、単一チャネル電流は内向きにも外向きにも流れ、静止電位より約70mVプラス側で逆転し、単一チャネルコンダクタンスは173pSであった。200mM CaCl_2を満たした場合、内向き電流しか観察されず、単一チャネルコンダクタンスは42pSであった。静止電位で陰圧をかけた場合のチャネルの閉反応は2次反応で、それぞれ時定数はtau_<C1>=0.15msec,tau_<C2>=0.68msecおよびtau_<C1>=0.15msec,tau_<C2>=0.58cmsecで、両実験条件のtau_<C1>,tau_<C2>の間で有意差はなかった。 3.陰圧をかけずにCPT-cAMPを投与しても、チャネル活性の上昇は全くみられなかった。 以上から、接合尿細管管腔側膜にはcAMPを介して調節され、Na^+,K^+,Ca^+透過性の膜張力依存性チャネルが存在することが分った。膜に張力がかからないとcAMPによる活性促進がないことから、生体内でどのように膜張力がかかるのかが今後の課題となった。
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Research Products
(1 results)