1993 Fiscal Year Annual Research Report
赤血球inside-out ghostによる赤血球膜の裏打ち構造と変性能の研究
Project/Area Number |
05670057
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
上坂 伸宏 日本医科大学, 医学部, 助教授 (40115796)
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Keywords | 赤血球 / 細胞膜分画法 / inside-out ghost / 形態 / 変形能 / 膜蛋白質 / 裏打ち構造 |
Research Abstract |
1.不連続密度勾配によるinside-out,right side-out,dense ghost(vesicleでない!)の分離分画法の確立 先に開発したPercoll連続密度勾配による新しい膜標品の分画法に基づいて、不連続勾配による方法を新たに確立した。連続勾配法では、inside-out分画とright side-out分画の境界は不鮮明で、均一な標品を再現性よく回収する事は極めて困難であり、また、超遠心器の使用が不可欠で、その遠心分離条件もきびしいものであった。不連続勾配を用いた分画法は、各分画を明確に分離し、又、普通の低速遠心器で行える、簡易かつ再現性・定量性の高い方法である。しかし、それに致る過程は多大な労力と根気を要するものであった。即ち、連続勾配の各分画の密度をマーカービーズを用いて調べ、試行錯誤を重ねて不連続勾配を決定した。例えば、超遠心器による連続勾配法で用いる遠心力(g値)と低速遠心器のそれは全く異なる。即ち、密度、g値、遠心時間を新たに制御せねばならず、その困難さは尋常でない。inside-out,right side-out,dense(senescent)の三分画なので、inside-outとdense分画分離用の不連続勾配と、right side-out(middle density)分画分離用のそれを作製し、他分画の混入のない均一な分画を得ることに成功した。 2.膜標品の形態、変形能などに関する成果 新たに確立した高精度の分離分画法によって得られた標品を用いて、各分画のsidenessを再確認し(抗原抗体法など)、形態や変形能の著しい差異を見出した。例えば、inside-out ghostは、細胞骨格蛋白網による凹凸な表面を有し、正常なbiconcave disk状を呈さず球形であり、又、平均細胞容積の増大、従って、細胞表面積体積比の顕著な減少を示し、著しい変形能の低下を示した。
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